第29話 なぜ躊躇うのだろう

 彼女に逢いたいと思う。

 どう伝えればいい…

 風俗嬢なんだ、店に電話すれば彼女に逢える。

 彼女は僕の為には時間を割かない。

 お金にならないから…


 店にいれば、お金になる。

 僕といても、お金にはならない。


 彼女にとって僕と逢っていても、せいぜいコンビニの支払いをさせる程度しか使い道は無い。

 だからコンビニで5000円も買い物をする。


 普通に逢うなんて彼女には、考えられないことなのだろう。


 だから僕は逢いたいとは言えない。

 逢っても、どこか僕は寂しさを覚える。


 抱きしめることもできない…彼女を他の男は抱くのだ。

 そのために店に送るのだから…


 壊れている。

 僕は壊れている。


 そして日々、壊れていく…

 いつか、動かなくなる日まで…


 心が欠けて、割れるまで…

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