第28話 声と音

「声が聞きたい」

 彼女の声が聞きたい…


 会社には声が溢れている。

 だけど耳に残る声はない。

 会社には音が溢れている。

 聴きたいと思う音も無い。


 僕は探している。

 いつでも…どこでも…

 彼女の声を…


「声が聞きたい」

 探しても…探しても…僕の聞きたい声は見つからない。

 僕の耳は、どうでもいい音で溢れる…。

 僕の心は、どうでもいい声で壊れる…。


 彼女の声が聞きたい。

 彼女の音で満たされたい


 欲しいモノでしか満たされない。

 他の誰でもないんだ…

 彼女でなければ…


 だから僕は今日も…今も…

 彼女の声を探す。

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