第25話 死に触れる

 子供の頃に、色々な生き物を殺した。

 虫を意味も無く殺し…魚を殺した。


 川から獲った魚を道の上に置いて、死ぬのを眺めていた。

 蜻蛉の羽をむしり、蛾をモデルガンで撃って、カエルを爆竹で破裂させた。


 思えば、何百…何千の命を奪った?


 僕は特別か?


 誰しも虫を殺したことがあるだろう…

 蚊も殺さない人なんているのか?

 ハエやゴキブリを殺さない人はいるか?


 ただの度胸試しで蛇を殺した。


 遊びで命を奪うことができる。

 それは子供に与えられた特権かもしれない。


 死に触れたがる。


 それは死を遠くに感じていたからだ。

 今は…死は隣にある。

 そう気づいた日から僕は死を遠ざけるようになった?


 違う…

 僕は数多の命を奪ったこの手で…最後は自らの命を終わらせようと思う。

 死は遠ざけられない。


 この手の中に…生も死もある。

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