第24話 鯨

 夢を視た。

 海岸に色とりどりのクジラが何匹も上がってくる。

 なかには足のあるクジラもいた。

 クジラはとても巨大で、荒々しかった。

 互いに襲いあいながら波打ち際で巨体を揺らす。


 私はホテルの窓から、それを眺めていた。

 恐ろしくもあり、愉快でもある。


 このまま全てが終わるのだ。


 私は諦めていた。

 この世界が終わるのだと…。


 それが恐ろしくも愉快でもあるのだ。


 白いクジラと目が合った。

 あぁ…もう終わりなんだ。


 クジラが身を捩らせて、ホテルへ向かってくる。

 ホテルがズンッと揺れる。


 窓の外には無数のクジラが暴れている。

 私は、それを笑いながら見下ろす。


 私の後ろにいる女性は誰なのか?

 笑っているのか…怯えているのか…


 私は、気にするでもなく揺れるホテルの窓からクジラの群れを眺めていた。

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