第5話 咲かない華 粧

草…茎…枝…そのどれでもであり、どれでもない。

それは、コンクリートを突き破るほどの強い生命力を持っている。


人でいえば、個性というのだろうか。


綺麗な花を咲かせるようには思えない。

周りと上手に調和するでもない。


ただ…頭のうえに硬く、厚い壁があっただけ…。

だから、他の誰よりも、きっと強くなる必要があった。


僕はなんでこんなに弱いのだろう……。


コイツはなんで上を目指すのだろう。

きっと僕より長い年月をその身に刻みながら生きていく。

人に刈り取られない限りは……。


その瞬間までコイツは伸び続ける。

ずっと…ずっと…。


いつか花を咲かせるのだろうか…。

誰に気づかれなくても…。

僕は、たまに見に来るよ。


だから、隣で同じ景色を見てもいいかな。

涙で霞むけど…視ているのは同じ月だよ。

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