第2話 最後のラブレター
お元気でしょうか?
あなたと一方的に別れてから、10年ほどになります。
最後に送ったメール、「私はたぶん幸せにはなれない」
そのとおりでした。
今、幸せには、ほど遠い生活です。
わたしより、18歳年上だった、あなた。
私は今、付き合いだした頃の、あなたと同じ歳になりました。
あなたと過ごした、8年間、本当に幸せだったと今、思います。
あの8年だけが、私の人生で唯一、安らぎのなかで暮らせた時間だった。
なぜ、手放したのか?
いまでも解らない。
私の最後のメールに返信も、電話もしてこなかった、あなた。
泣きましたか?
わたしも泣いていました。
あなたと別れて10年、職を失い、心を病んで、今もベッドで伏せるだけの日々、何も得るもののない日々、死にたい、死ねない。
それだけを考え、どこかで、自分を追い込んで、死を選ばざるを得ない状況になることを願っているような毎日です。
願わくば、もう一度、逢いたい。
そんな資格もない私ですが、ホントに大切な女性であったと思えてなりません。
もし、あのまま、一緒に暮らせていたら、どうなっていたか?
そんな無意味な空想のなかでは、あなたは、私に笑いかけてくれてます。
あなたの人生に、無駄な悲しみを与えただけの私。
償えない。
ネットに疎いあなたが、これを見ることはないでしょう。
見たところで、わたしと解らないかもしれない。
僕は、もう一度、そっと、あなたを見に行きたい。
そのときは、たぶん……。
本当にありがとう。
もし、最後に、幸せなあなたの姿が見れれば、それで僕は満足です。
逢えないけど、幸せでいてください。
願わくば、あなたの不幸は、わたしにくださるよう、わたしの幸せは、あなたに降り注ぐよう、それだけを祈っております。
あれから、ずっと今も……それだけ祈ってます。
「はやく、追いつけ……」
私の誕生日、眠ったと思った私に呟いた、あなたの言葉、忘れられません。
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