『僕の理由』

死にたいと思った。


生きる理由が無かった。


でも、怖くて出来なかった。


それが、十年前の話。




君に出会った。


生きる理由を見つけた。


すごく、幸せだった。


それが、五年前の話。




君を愛した。


生きたいと願った。


君と、生きたかった。


それが、三年前の話。




君が病に倒れた。


生きて欲しいと願った。


とても、苦しかった。


それが、一年の話。




君がいなくなった。


生きる理由を失った。


でも、死ねなかった。


それが、半年前の話。




君からの手紙を見つけた。


“生きて”と書いてあった。


死ねない理由が出来た。


それが、七日前の話。




君に花を手向けた。


生きることを誓った。


君が笑ったような気がした。


それが、今日の話。




君が迎えに来るまで、僕は精一杯生き続ける。


再び出会うその時に、胸を張って会えるように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る