現役DKが転生して王家の血を受け継いだ結果
彗星ロイ
プロローグ
転生。選ばれた人が生まれ変わって新たな姿を手に入れ、人生(もしくはその他)をやり直すこと。ファンタジーやロールプレイングの類いでよく耳にするが、現実(リアル)で本当に『それ』の行使が可能だと考えている奴が存在するとしたら、そいつはある意味、新しい宗教の教祖だろう―。
すっかり名乗るタイミングを逃してつらつらと駄弁ってしまったが、星乃大智、俺の名前だ。なぜこんな妄言(口に出してはいないが)をわざわざこんな通学途中の現役男子高校生が考えているのか。皆さんはまず、間違いなく疑問に感じるだろう。期待に添えず申し訳ないが、特に理由はない。一足す一は何故二になるのかと問われればそれは、二と決まってるから以外答えようがないだろう。それと差異はない。強いて言うなら、神のお告げだ。
突然だが、考えてみてほしいのだ。死の向こう側には何が待っているのか。まあ、それを本当に知っている者がこの生身の世界に存在できるとしたらそれは、まさにこの世の創造神くらいなわけだが(創造神でも無理かもな)、だからこそ、それについてこの世には様々な、それこそ十人十色の仮説が浮上している。この世界はほんの数分、もしかしたら数秒前にこの状態を持ち合わせて作られたというもの。死後の世界は天国と地獄に分かれていて、生前の行いによって、閻魔様にその行先を決定されるという我が国独自のもの。人類は何度も同じ人生を繰り返し歩んでいて、だからその影響で既視感(デジャヴ)が発生するというものなど、メジャーなものを少し挙げたが、他にもまだまだ沢山ある。しかし残念な事にも、これらは一生解決されることはない。多方面から見て不可能だからだ。これまた死ななければ確定できない事実を一生のうちに解き明かそうとしている奴が存在するとしたら、(転生論支持者の前段階ではあるものの)そいつもそいつで頭のねじが、さぞ緩んでいるに違いない―。
・・・発言は、責任をもってするものだな。まさかさっき言ったことをわずか三十分足らずのうちに撤回することになるとは、そして何より、「存在するとしたら」という仮定が、この俺によってまぎれもない事実になってしまうとは、この時は微塵も思っていないのだった。
そんなこんなで、俺は我が高校の門をくぐり、まぶしい日差しと暑苦しい友人を回避しながら自分の座席にいつも通り着席した。勿論、後ろに世界を思うがままに操る、とんでも美少女が座っていることはなく(そもそも最後列だから、後ろは壁)、俺の普通の日常の幕開けだ。ただ、この日はいつもと少しだけ何かが違った。それに気づいていたら、少なくともあんな事態になることだけは防げたかもしれない。後悔先に立たずというが、「これからあなたは後悔しますよー」などとご丁寧に俺に告知してくれる天使がいるはずもないから、どうにもできないのだがな。
現役DKが転生して王家の血を受け継いだ結果 彗星ロイ @heppokosan
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