第13話 4回目の会と幸せの報告

ドバイの会は、九月の末に開かれ、高橋さん

と順ちゃんがいつものようにやって開いてく

れた。高橋さんから二人の件で、聞かれて、

来年には、はっきりしますと答えた。会の

人達は、二人がそんな関係だとは、知らな

かったので、皆さん、びっくりしていた。

閉会の後、順子がそばに寄ってきて、

「今日、寄ってもいい」

「いいよ、高橋さんにだけは、お礼言ってお

かないと」

そう言うと真一は、高橋さんのそばに行き、

「色々と面倒みてもらい、有難うございます。

内内にするかどうするか、順子と話してから、

また連絡入れさせてもらいます」

「私は、二人がまとまってくれたことが一番

うれしいです。おめでとうございます。六月

には、ハラハラしてましたから」

「ご心配かけて申し訳、ありません。急な話

で、私も頭が混乱して何を彼女に喋ったか覚

えていません」

「結果オーライです」


「私、彼女とドバイで全然話してないので、

何でこうなったのか、未だに判らないです」

「私も同じ飛行機の中で、行き帰り一緒だっ

たけど、全然こういう話出てなかったわ」

「彼女の感じの良さは、よく判っていました

が、その程度だったもんでデイトしたいとか、

そういう気持ちもなかったです。妻を亡くし

たばかりでしたし」

「そうですよね、亡くしたばかりでは、無理

ですよね」

「彼女を感じいい人だとずっと思っていま

したが、それだけの事で、それ以上の事は、

ないと思っていました。私が一番驚いてい

ます」

「私も相談されて、一番びっくりしました。

失礼ですけど、田畑さんは、二番目に年齢

が高いですものね」

「そうなんです、彼女ファザコンかと思っ

てしまいましたが、そうでもないようで、

判んなくなりました。じじいなんか、好

きになるよなと思っていました」

「確かに恋愛に年齢差は、関係ありません

からね。ただ、彼女は本当にいい子ですよ、

一緒に会をやっていて本当にそう思います」

「遅くまで引っ張って申し訳ありません。最

後にもう一度お礼いいます。有難うございま

した」

会の皆さんと別れて、順子と一緒に平井まで

電車に乗った。平井で降り、家に向かい、自

宅に二人で戻った。祥子が二人を見て、

「ご夫婦でお帰りですか、お帰り一丁上がり」

順子が、突然泣き出した。

「祥ちゃんにそんな風に言われて、本当にう

れしい。受け入れてもらって」

「母も喜んでくれていると思います。父をそ

んなに愛してくれる人となら」

真一は、さっさっと部屋に戻ってしまった。

照れてしまった。

台所で話していた二人が、部屋に入ってきた

ので、三人で話合うようにした。自分の考え

を述べて二人の意見を聞いた。順子も結婚が、

出きるかどうか、それが問題だったので、時

期に関しては、そんなに問題にしていなかっ

たのだ。時期に関しては、すんなり決まり、

後は、内内にするかどうかの問題だけだった。

彼女の年齢からすれば、まだ友達を大勢呼び

たい年齢だったのでどうするか、それが問題

だった。彼女は交際が多かったので、その事

には、祥子が解決案を出してくれた。

「私が、内内にするから費用が少なくてすむ

し、商売が軌道に乗り始めたから、一年後な

ら、費用も大丈夫なんじゃない。祖父の話

で、一年で家を買った話もあるくらいだし」

「祥子の結婚費用は、取っといてあるよ、お兄

ちゃんの分もね」


「そんなら、全然問題ないわ、結婚式やりま

しょう」

順子が、

「祥ちゃん、それじゃ、私イヤだわ、自分だ

け結婚式やるのは、後で色々言われるわ」

「私の好きな人は、就職氷河期の人で、仕事

で大変苦労しているの。だから、彼と家族と

話し合って内内でするようにしたの、別に、

順ちゃんの為じゃないのよ、私の事情なの」

「本当なの、本当にいいの」

「いいのよ、いいの」

「お父さんに頑張ってもらって、大きな披露

宴、後で開いてもらうから」

「いいよ、祥子。特許まだアイディアだけど、

買ってくれることになったから」

「幾らで、買ってもらうようになったの。」

「三億円」

「エー」

「エー」

「本当」


「本当は、特許とって十から二十億円で米国の

投資家に売って、商売に協力してくれた方々に

お礼しようと思っていたけど、金額が少なくな

っちゃった。お礼の金額も少なくなっちゃった。

ただ、祥子の持参金くらいは、奮発できるよ、

将来、先方で必要になったときに使えば」

「すごい、すごい」

「だから、祥子も遠慮しなくて、式も披露宴も

やって構わないから」

「お父さん、有難う。それだったら、順ちゃん

の式も早めにできるんじゃないの」

「そうだね、もう少し、じっくり順ちゃんと相

談しよう」

その言葉に順子も

「有難う」

「それじゃー、シャワーでも浴びるわ」

着替えを持って、真一は、風呂場に行った。

祥子に順子が、

「祥ちゃん、色々とありがとう」

「こちらこそ、父を宜しくお願いします」

ペコリと頭を祥子は、下げた。

真一は、風呂を出ると、二人に声かけた。

「どっちが、入るの」

「私が、次に浴びるわ」

と祥子の声、

「私が、入ります」

と順子の声、

真一は、さっさっと布団を二つ敷いた。

横になっていると、順子が出てきて、横になり、

「今日は、どうかな。いいとも」

「判った、判った。明かりだけ消そう。そ

れと仏壇の扉も閉めよう」

真一は、ゆっくりと体を反対側にひねった。

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ドバイの恋 のり1950 @ike1950

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