第12話 祥子と父の会話
「どう、順ちゃんは、どうしてる」
「今、ホームにいるんだ。順子を見送った」
「それは、それは、残念でした。何もできず」
「二度ばかり迫られて、一度だけ抱いてしまっ
た。悪かったな。約束破って」
「いいよ、それくらい。よく頑張ったじゃな
い」
「褒められているのか、馬鹿にされているの
か判らないね」
「素直に受け取って、男として頑張った」
「もう年だから、女性に興味は、ないね」
「順ちゃんに言っちゃおうー」
「言ってもいいよ、あきらめさせる方法だ」
「強気、強気、空威張り」
「親に向かって、何を言う。自分はどうなん
だ」
「一月早々には、できると思うけど、今日早め
に帰ろうと思ったの。大丈夫かなと」
「大丈夫、大丈夫」
本当に仲の良い親子であった。夜に、祥子が
帰ってきた。
「友達がこの暑さで、体調を崩して、予定は、
中止になったの」
「残念だったね、食事一緒に食べる」
「何、あるの」
「カツどんと味噌汁」
「食べたいと思っていた物」
「ベリーグッドだね、ストライク」
「祥子、商売がうまくいったら、順ちゃんと
一緒になっていいかな」
「そんなに、のんびりしなくて、いいよ。ど
うせ、やるのは、内内でしょう」
「妹と義弟、それと長男夫婦、長女夫婦」
「まだ、結婚してないわよ」
「仮定の話だよ。二、三年後」
「そんなに待たせていいの、今の勢いで行っ
たら、半年以内かな」
「そしたら、祥子の後、直ぐじゃないか」
「いくらなんでも、二つの結婚式の直ぐ後
は、勘弁してほしい」
「同棲しちゃいば。そうすれば、後で披露
宴、レストランでやればいいじゃない」
「考えとく、食事しよう」
食べながらも二人で、いい考えを探していた。
「祥子は、どうするんだ」
「彼の仕事の関係で、内内で済まそうかと思
っているの、彼も就職氷河期の人みたいだし。
斉藤さんの家は、私大変気にっているから」
「お父さんも好きなお家だね」
「斎藤さんの家族も言っていたわ、お父さん
大好きだって」
「有難う、決まった段階で教えて」
「判ったわ」
九月に入り、仕事が急に決まりだした。大手
の出版社に出していた商品が決まったのだっ
た。メディアミックス本と呼ばれる本だった
。アロマペンダントが決まったのだった。あ
る程度の数量を確保しなければならず、何社
かと新規取引を始めた。順調に売れ始め、驚
異的な売上げを上げていた。これが年間続く
との話なので、そうすれば、借金も一年で消
せるかなと思い始めていた。以前の件が、あ
るので油断はできないけれど、見通しは、明
るかった。
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