第10話 家の中と外出

「順ちゃん、先に着替えたら」

「有難う、もう少し、ゆっくりしたい」

「じゃあー、もう少しのんびりしよう」

1時間後、真一が声かけた。

「布団たたむよ、台所に行ってくれる」

「了解です」

布団をたたむと、直ぐに真一は、着替えた。

「順ちゃん、着替えて散歩に行こう」

着替えるまで、真一は、外の植木を見てい

た。順子が、外に出てくるまで、大好きな

植木を見続けていた。

着替えて、化粧までしてきた順子と散歩

にでかけた。

二、三分後には、近所の今田老人に会い

「新しい奥様かい」

と冷やかされた。これには、順子が喜び、

「その予定者です」

と答えたので、あわてて真一は、

「まだ、友達です」

と急ぎ訂正を言った。


順子は、真一の腕をつねった。

「訂正なし」

「誤解される。近所の手前がある。まだ、

一周忌前だよ。それと、何言ってるの

肉体関係だって全然ないんだよ」

「恋人と思っています」

「それは、順ちゃんだけの気持ち。私の気持

ちも考えて」

「私のこと、好きと言ったのはウソ」

「それは、言ったけど、一人のファンとして

の言動。結婚とか恋愛とは、別の物です」

「全くずるいんだから」

「世間一般では、皆そういうよ。順ちゃん

の気持ちがずれているだけ」

「私が、悪いと言うの」

「いい、悪いじゃなく、まだ恋人の所まで

行ってない」

「どこまでなの。二人の関係は、」

「仲間と一緒に旅行に行った知り合い程度」

「いやだ、恋人」


「それも、時間が解決するよ。一、二年経て

ば、はっきりするでしょう」

「どういう意味」

「一、 二年経てば、若い恋人ができて、さよう

なら」

「そんなことない」

「その可能性が高いから言ってるだけ」

「絶対にない、絶対にない」

これ以上、言っても無駄だなと思い、話

を変えた。

「いつ、日野に行くの」

「明日、行こうかなとおもってるの」


「ここんところ、行ってなかったんだよね」

「そう、だから行こうかなと、一緒に行く」

「まだ、そういう関係じゃないので。行きま

せん」

「冷たいわね。今晩作るわ。作る、作る」

「まだ、まだずっと先。倅の結婚、娘の結婚、

仕事の業績回復その後ね」

「どの位かかるの」

「四、五年先」

「お婆ちゃんになっちゃう」

「だから、言ったじゃない。若い人にしてね

って」

「訂正、訂正。協力してもいいの」

「注文先を紹介してくれるなら、有難いけど」

「出来るかどうか、判らないけどやってみる」

「今、新しい事に挑戦中で、それがうまく行

けば、すべてうまくゆく」

「どの位、時間かかるの」

「採用されて売れれば、二、三年」

「応援が先かな」

「有難いけど、自分のこと、やっていれば

いいよ」

「判った」

「ところで、昼飯、何食べる」

「何、あるの」

「回転寿司、とんかつ、後は、チェーン店の

レストラン、中華店」

「真ちゃんは、何食べたいの」

「昼は、寿司で、夜は、とんかつかな」

「私も、それでいい」

話は、まとまり、土手を上り、京葉道路が

見えてきたので、亀戸方向に歩いていった。

十五分程度、歩いていると前方斜めに回転

寿司の建物と看板が見えて来た。真一が、

「あれあれ」

と指差して、順子に知らせると、

「判ったわ」

若干込んではいたが、座れないほどでは、

なかったので、隣同士で座った。いつも

なら、彼女が会を仕切るときに、豆豆し

く行動するのだが、真一の地元なので、

彼が、仕切っていた。

二人で適当に食べ、会計を済まして、外に

出た。亀戸から元の平井にゆっくり歩いて

行った。

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