第14話
俺たちは朝早く例の土地に来ていた。フリーとボブが前に立ちこれからやることを説明する。
「えーこれからこの場所に建設する設計図を見せる、お前らでも分かるようにしといたぞ」
フリーが話し終えるとボブが設計図を広げる。バカでもわかるようにいろいろと解説が載っているが、流石にこんなに丁寧にしなくてもと思ったが「オイラ図を初めて読めたかしんねー」と発言してるラミスがいるのでフリーの気遣いはさすがだなと感じる、俺ならそこら辺適当になると予想つくし。
「早くやりましょうか、どうせ避けて通れない道ですし」
「いっちょ活躍してやるぜー」
「そうだな、学園に行けてない分ここで頑張りますか」
珍しいグレンの引っ張りに俺たちはそれに続けのごとく声を出す。
なんかよく見たらボブの目元にくまができているのに気づき「お前寝たか」と聞くと「ここ二日間あまり寝れてねーんだよな」と滅茶苦茶眠たそうにしている姿に俺は少し心配になる。
「おいおい大丈夫なのかー、今日のところはオイラたちでどうにかするからよー休んだほうがいいぜ」
「寝てくればいいのではないですか」
「それはそうだな、今日は仕事なしでいいぞ」
俺たちの休むことをすすめる提案を進める。
ボブは少し驚いた素振りをしたあとに「わかった、そんあに言うなら昼まで寝かしてもらうぜ、そのあとここに仕事しに来るからよ」と返してくるが少し一緒にいるだけでわかるが彼は真面目な一面があるから本人は昼から合流する気でいるみたいだ。
俺たちはボブがこの場を去ったのを確認して木材を調達するためにドラン家から支給された魔力が宿るように作られたのこぎりを持ち山へと移動し、設計図に書いてある木の本数を全て切断する作業に取り掛かろうとしていた。
「それにしてもやっぱりここの木って太いよなー」
「この本数は結構きついぞ、いやきつくね」
何本切ればいいんだよ、こんなに太い木が相手なんだぞ、これ途中で絶望するパターンじゃねーか。
前に何度かこの山の木を遠目で見る機会があったがいざ作業をしようとすると少し気が引けてしまうし、他のメンバーも例外ではないはずだ。
「文句をたれても何も始まりませんよ、やりましょうか」
「グレンの言う通りだ、とっとと始めるぞ」
何でそんなにグレンはやる気を出しているんですかね、あまりこういうの普段は好きそうに見えないどうしたんだ?
謎のグレンのやる気に俺は困惑しながら作業を開始する。
最初はおしゃべりしながら作業をしていたが時間の経過にともないかなり体に疲れがたまりみんな話す余力がなくなっていた。
昼間になりお腹ペコペコになった俺たちは無言のままドラン家に戻ってきた。
「やべー体にくるぞ、腕がパンパンになちまった」
「でもよー体に負荷がかかる分、かなり鍛えられてるんじゃねーか」
おいおい、どこまでポジティブなんだよでもこういうの聞くと少し気分が良くなるんだよな。
「確かに辛いと思って作業するよりかはトレーニングと思ったほうがいいのか」
「いい感じににラミスが移ってきてんじゃねか」
フリーは俺とラミスの会話を聞いてニヤニヤしながら自分の顎に指をつける。
「ご飯の準備ができたみたいですよ」
この家のメイドが俺たちを呼びに来た。
俺たちはリビングに移動するとボブが先に座っていて笑顔をで俺たちのことを迎え入れてくれる。
滅茶苦茶いい匂いがするご飯が目の前にあるため俺とラミスは走ってボブの隣の席座る、「貴方たち走るのは行儀が悪いですよ」と怒られてしまった。
やべー滅茶苦茶うまそう、こんなにご飯が輝いて見えるのは初めてかもしれない。
フリーとグレンが座ったあと俺たちは「一斉にいたただきます」と挨拶をしてご飯を食べ始めた。
「うめーいつものご飯より断然美味しい」
「だなー、オイラさーこんなうまい飯、食べたことねーぞ」
「確かに美味しですね」
「ボブ何照れてるんだ、もしやお前が作ったんだろ」
俺たち四人はボブの方を見た。ボブは「そんなに喜んでくれるならつくりがいがあるぜ」と嬉しそうに笑顔になる。
ボブが作ったという事実に俺たちは驚きを隠せずにいた。
マジかよ、ボブってこんなに色々できるのかよ、能力や見た目は武闘派な感じするのに、すげーな。
「ドラン領は港があるからいろんな魚類を使えて楽しかったよぜ」
「うちの領民はあまり魚を使わないからな、今考えればここは魚類がたくさん
取れることで有名なのにどうしてだ」
「やっぱり、捌くのが肉より難しいからじゃないか」
「そうなのか、やはりこんなにいいものならうちの発展にも役立てそうだな」
確かに漁業をしてる人はよく食べているのは街でよく見かけるけど家庭で頻繁に食べるような話を聞いたことないな。
ドラン領の人々はあんなに大きな港があるのに何故か肉を好んで食べるのでその分家畜をたくさん作らなきゃいけないし、無意味に金を使っているのは明確で、
それを改善すればこの領地の財政がよくなるのではないかと俺は仮説を立てる。
「あれだろー魚の捌き方教室を作ればいいなじゃねー」
「その考えいいな、うちで採用しよう」
ラミスの発言でフリーは相槌を打ちながら採用する。
「ボブ、私に料理を教えてくれませんか」
「いいぜ、出来る限り教えてやるよ」
グレンとボブの仲は良くなっているみたいだ。なんとなくだが2人は気が合いそうな気がするんだよな。それにグレンはボブと話したがっていたし、気まずい雰囲気がなくなってよかった。
「このパスタと煮魚が特にうめーな」
俺はみんなの様子をちょくちょく見ながらご飯に夢中になっていた。
黒色のパスタにはイカがたくさん入っており王国では人気の食べ物だ。
イカ墨を使っていることで有名なんだよなとかご飯のことを考えて楽しんでいると他の四人が意外そうな顔でこちらを見てきた。
「どうした、なんか俺に用事があるのか?」
「いや、貴方がこんなに静かなのは珍しいと思いまして、食事が趣味なのですね」
「こんなに美味しいもの滅多に食えねーし、堪能したくなったんだよ」
「俺がいる間はご飯作ってやるぜ」
「ボブの料理は筋肉がつきそうだぜー」
ボブが毎日作ってくれることを聞いて俺とラミスのテーションが高くなる。
ラミスの言葉に「ラミスは馬鹿だなー」とフリーは苦笑いしながら呆れていた。
俺たちはもう少しこの楽しい空間にいたあと、この場を後にして作業に戻った。
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