第11話
「こんな緊迫した状況ですが1ヶ月後に模擬戦を行いたいと思います」
先生が発すると俺らをよく思わないやつや自分たちがやったんじゃないかと思っている人たちで「この二人が犯人に違いありませんよ、なぜ追い出さないのですか」とこちらに指をさし授業を受けませんアピールをやり始め、次第に騒ぎは大きくなり学園全体に広まった。この影響で徐々に人がいなくなり4日後には俺たち含めて4人になりついに学園長から呼び出しを食らう羽目になった。
「ドラン家の当主様と話した結果として単刀直入にいうがここを一時的に離れてもらうことになった」
やはりこうなるか、俺たちを追い出したい貴族のおぼっちゃまたちの思考道理になってしまっている状況にイラつくがこうなってしまった以上しょうがない。
まぁー俺には学園行かなくても勉強できるし・・・・・・なんて言い訳したくなるが本当のところはみんなと仲良くできると思ってたし、学校に通うのも楽しみにしてたんだけどな。
昔からそうだが嫌われやすい気質なんだろ、優しくしてくれる人がいて恵まれてたからか俺は忘れてしまっていた。
「何落ち込んでいるのですか、貴方らしくもない」
「フリーの提案で茶髪にしてもらったのに効果がないじゃねーか」
「俺に八つ当たりすんなよ・・・・・・でも今回はお前のせいじゃねーから落ち込まなくていいと思うぞ」
「クラスでよー、リオルトの悪口言ってる奴がいて、そいつにリオルとは悪い奴じゃねーって言ったらクラスどころか学園から追い出されちまったよー」
なんていい奴なんだ、今度ラミスにアイス買ってやろう。
俺たちは学園から離れてドラン家の城にあるフリーの書斎でだべっていた。
ここに来るまでラミスまで追い出されたことに疑問を持っていたが、俺のための善意ある行動のおかげ今ここにいるわけなんだが、正直巻き込んでしまったことに心が痛い。
俺たちがここに集まった理由はこれからどう行動しようか話し合うためである。
俺としては無駄にイケメンなおっちゃんことドラン家当主でフリーの父上に許可をもらい4人で住める大きな拠点を作りたい。
俺は「秘密基地を作りたいんだが土地がないか」と問いかけるとフリーは指を顎に当て少し考えたあと「父上に聞いてくるが多分大丈夫だろ」と自室を出て行った。
「やったぜ、これで家に帰らなくて済むぜー」
「まだ許可は降りていませんよ」
「いい報告が来るのを楽しみに待ってようぜ、ラミス」
当然二人も話起きているのでテーションが無駄に高いラミスは当然大はしゃぎし始める。
いやーこういう反応をしてくれるとやっぱり気分が良くなるよな。
俺たちはフリーを待ちながら話をしていると風通しを良くするために開けてある窓から赤いメガネとドレットヘアが特徴的な肌が黒い少年が血を流しながら入ってきた。
「助けてくれ、俺はカスティーヨ家のものだ」
「おい、しっかりしろ!ラミス今すぐフリーの親父を呼んで来い」
「今すぐ呼んでくるからよー待ってろよー!」
俺は一瞬襲撃かと身構えたが少年が助けを求めているのを知り、急いでラミスに指示を出した。
息がとても荒く血だらけだ、このままじゃ死んでもおかしくない、だがこの城には回復魔法を使えるものがいた覚えがないぞ。
「失礼します、私が緊急で回復魔法を唱えますので少しおどきになってください」
「おい!そんなもの使えたのかよ」
「少ししか身につけられなかったので、貴方には話していませんでした」
俺はグレンに言われたとおりに横にずれた。
グレンが治療をしているのを俺は何も出来ず見ていたが傷を治すまでいたらず出血を多少抑えるぐらいにとどまっている。
回復魔法を使える人は希少で領主のおっちゃん並になると国に多くても2桁いかないだろう。
「おいおいおい、どうなってんだ!」
「私も見たことありません」
彼の体から人間の体内で生産される魔力が傷から漏れてそれを塞ぎ始めた。
彼の傷口で起こる初めて見る現象に俺たちは釘つけになり動けずにいるとちょうど駆けつけてきたラミスとフリーに「死んでねーよなー!」と声をかけられた。
「死んではねーけど・・・・・・・・・何が起きてるかわからねーよ・・」
声がつまりながらうまく話せていない俺の状態をラミスより少し遅く来たフリーの親父は察して俺の真後ろからしゃがんで彼を見下ろす。
フリーの親父は「そんなまさか」と驚きを隠せずにいる中でフリーは俺たちより何歩か遠いところからこちらを見ながら指を顎に当て眉を寄せながら難しそうな表情をしながら考え込む。
「治療をしてくれてありがとうございます」
「いやいいんだ、そんなことよりも経緯を知りたい、とりあえずリビングに移動しよう」
フリーの親父と彼はこの部屋を出ていった。
おそらく、カスティーヨ家で何かあったのだろう、聞いた話だと王国の名門と有名で現当主がかなりのやり手だと聞いている。
「彼は私の記憶だと紋章がなく落ちこぼれだと噂を聞いたことがあります」
「なんかよーオイラと立場が似てるようで同情してくるぜー」
「お前家でもそんな扱いされてるのか」
「そうだぜー、家の奴らにぎちょんぎちょんにやられてるからなー」
グレンの話を聞いたラミスは少し表情を曇らせる。
かなりショックだな、苦労人同士これから仲良しで行きたいぜ。
ずーっと思考の渦の中から抜け出したフリーが俺たちに何も言わずにリビングに向かって歩き出した。
「貴方たちも落ち込んでないで行きますよ」
「やべー置いてかれる、ラミス行くぞ」
ラミスはいつもの明るい雰囲気を取り戻し「おうよー、オイラのことで悩ましてごめんなー」とこちらに声をかけてくるので、俺は「別に気にしなくていいぞ」と返し二人で並んで目的地に向かう。
俺はこれから大きなことが起こるのではないかと何か予感を感じていた。
俺たちがリビングに着くと珍しく真剣な顔をしたフリーの親父と悔しそうに涙を流している彼が椅子に座りながらテーブルを挟んで向かい合って座っている。
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