第10話
あの大ブーイングから次の日、先生から悪い話がされた。
「ランネス君合わせて5人の生徒が突然行方不明になり・・・・・・・・それぞれの一族の当主までもが何処にいるのかわからない状態です」
先生の顔があまりよろしくなく、クラス全体の落ち着きがなくなってきていた。
この国で上位に入るランネス家の現当主と次期当主が揃っていなくなる時点でおかしい、貴族たちが怯えているのは次は自分たちかもしれないという不安から来てるのだろう。
「お前がやったんだろう」なんて声が聞こえてくるが俺はそれを無視した。
放課後になり俺たちは裏庭で話していた。
「なー、リオルトとグレンはどう思う?・・・・・・・・このタイミングからしてどうも臭うんだよな」
「私は普通に考えてまず失踪した貴族たちは死んだのではないかと思いますね」
「俺はそんな話で動揺してるんじゃなく、何か対策するべきだと思うぜ」
俺たちが話していると、「その話オイラにも聞かせてくれよ」と貴族らしくない喋り方で声をかけてきた。
「なんだパステル家の暴れ馬じゃないか」
「オイラの家も名門なだけどよー、悪さしてる奴がいるって聞いていてもたってもいられなくてよー」
「貴族には見られないパワフルな感じがしますね」
どうやら彼は正義感が強いようだが、俺らがいるクラスの連中より100倍いいやつかもしれない、いやそうであってほしい。
俺は「これからよろしく」と握手をするため手を差し出すと彼は感動したのか激しく握手をしてきた。
「この学園の奴ら・・・・・・・オイラのことはしたないとか言ってよーハブってくるんだよーだけどあんたとならそりが合いそうだ」
俺もそうだがこの学園は貴族じゃないものや貴族みたいに振る舞えない奴にはとことん冷たい。
まぁ、貴族にも限らず人は自分たちの普通を崩されたくないから、少しでも自分たちと違うところがあれば排除したがる。
「とりあえず自己紹介しよう」
「よし、オイラの名前はドラン様なら知ってるだろうがパステル家出身ラミスって言うんだよろしくな」
「こいつらは俺の友達でな、こっちがリオルトでこの目つきが悪そうななのがぐれんだ」
雑にフリーが俺たちのことを自己紹介した。
ラミスが嬉しそうに自己紹介をしてくるものだから俺も気分がいい。
フリーが自分の顎に指を当てて何か考え始め、グレンは自分の自己紹介の仕方が気に食わなかったのかブツブツ文句言っていた。
「あのよー、これからどうするのか話し合うんじゃねーのかー?」
「あー悪い悪い、今これからどうするべきか考えててな、結論で言ったらやるべきことがまだ俺らにないっていうのが現状なんだよ」
「確かに敵の動きがわからない状態で動くのは得策ではないですね」
「もう少し時間を置いた方がいいかもしれないな」
「そうだな、敵が現れるまで特訓でもするかー」
「そうだ、まだ時間あるし遊びに行こうぜ」
総意で今動くべきではないと判断して、とりあえずフリーの提案で俺たち4人は放課後の残り時間を満喫した。
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