ハルのミラクル猫パンチ☆

@miiho

ねがい

 オレがまだ子どものころ、「ぽんすけ」っていうねこっていた。


 ぽんすけと出会った日は、めちゃくちゃ雨がっていて かさがなかったオレは急いで家に帰っていたところだった。

 雨の音が「びちゃびちゃ」「ばちゃばちゃ」って音がうるさいくらいで少し怖かったっけ。

 ランドセルをかさがわわりにしたけど、目の中に雨も入るし、全身びっちょびっちょ。一秒いちびょうでも早く帰りたかったのに そこにいたんだ。


 電信柱でんしんばしらすみにふたが開いている しなしなのみかんのダンボール箱。

 中には、びちょびちょタオルに雨水パン。そこに震えながら丸まっているちっちゃいねこ

 馬鹿ばかのオレでもすぐ分かった。ねこだ。

 可哀想かわいそう。とか どうしよう。とかそんなの思わなかった。

 思うより先に、ランドセルをてて そのねこを服の中に入れて走った。


 オレの中で、もううことは決まってて「ぜったいにかう!!」って母ちゃんに言った。

 母ちゃんは、しぶい顔してたけど何とかオッケーしてくれて、その日からぽんすけとの生活が始まったんだ。

 ちなみに、「ぽん」はみかんのポンジュースから、「すけ」はオスだったから 「ぽんすけ」にした。


 ぽんすけとの生活は今思うとまぁひどいもんだった。

 小学生だったオレは、ごはんも母ちゃんまかせだったし、好きな時にしかかまわねぇし、尻尾しっぽを何回もんだし。


 でも、オレはぽんすけが大好きだった。


 ぽんすけが布団ふとんに入ってくるとあたたかくて安心した、ねこじゃらしを必死ひっしになってつかまえようとするのがわらえたな、ひざの上に来て丸まってるぽんすけがすごく可愛かわいかった。


 ぽんすけといるのが当たり前だった。

 これからもずっと一緒いっしょだと思ってた。



 けれど、ぽんすけは 姿を消した。 



 母ちゃんに言われた。「あんた、ぽんすけにひどいことしなかった?!」

 オレは「しなかった」って答えた。


 けど、本当はしたんだ。

 あんなに大好きだった ぽんすけ。



 ぽんすけは、"オレがきらいになった"んだ。

 いや、“きらい”ならまだマシか。




“こんなやつに出会いたくなかった”そう思っただろうな。




 今もねがうことはただ一つ。



 どうか君が、どこかで元気に生きていますように。

















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