第20話 ゼラチンマン「魅了獣 ゼラチンマン」③

 ゼラゼラゼラ……(笑い声)




 赤色、青色、黄色、桃色、緑色、……そして青色。




「ろ、6人?」


青の槍士ブルーが2人もおるやん!」




 そう! ボクが青の槍士ブルーに姿を変えたんだヨォ!


 イケメンや美人が相手でも、平気で攻撃してきたのにはびびったけド。


 これなら、敵か味方かわからないから、攻撃できないはズ!




「こいつが偽物だ!」




 ギエッエ! 早速見破られタ……わけじゃなイィ! 




 本物の青の槍士ブルーが、氷結の槍フリーレン・ランスでボクに攻撃を仕掛けてきたけド、赤の剣士レッドが、灼熱の剣アルダン・ソードで防いダ。




赤の剣士レッド! 何を!」


「コイツが偽物って証拠はねえだろ。お前が偽物かもしれねえ」




 青の槍士ブルーに指をさして、赤の剣士レッドが言っタ。




「なるほど、確かにその通りだ」


「実際、本物は俺だシ」」


「んー、なんか見分ける方法って、ないのかなー」




 ないない。だって、声までそっくりにできるんだかラ。


 ゼラゼラゼラ……




 赤の剣士レッドが、本物の青の槍士ブルーに指先を向けて言ウ。




「例えば、お前が本物の青の槍士ブルーだとして、こいつが偽物の青の槍士ブルーだとしたら……あー、もうややこしい! とりあえず、お前が青色1ブルーワンで、お前が青色2ブルーツーな!」




 本物がワンで、ボクがツー。仮の呼び名ダ。




「でも、でも! 青の槍士ブルーが2人で良かったね」




 黄の戦士イエローが笑いを堪えながら、よくわからないコトを言って、続けル。




「3人いたらね、プププ……、3人目はブルースリーだから、すっごいカッコイイ名前になっちゃうもんね。絶対3人目に感情移入しちゃうよ! あーっはっはっは!!!」




 黄の戦士イエローよ……、なにが、楽しいんダ?




「で、赤の剣士レッド、結局何が言いたかったの?」


「だからよ! 青色1ブルーワン、もしくは青色2ブルーツーに訊くんだよ!」




 何を訊くつもりか知らないけど、無理無理、見分ける方法なんてなイ。


 ゼラゼラゼラ……




「あなたは本物ですかっテ?」


「んなわけねえだろ! 本名だよ! 変身する前の名前! もちろん耳打ちでな!」




 え? いやいや、ボク、青の槍士ブルーの本名なんか知らないシ!




「お! それ、いいね!」


「だろ?」




 赤の剣士レッドはそう言って、ボクの口元に耳を近づけてきタ。




「ほれ、早く言えよ!」




 な、何か言わないト……




 名前を言ったラ、赤の剣士レッドはちょっと驚いテ……、すぐ笑顔になっタ!


 どうやら、適当に答えた名前が当たってたらし……






 ボゴオオオオオォォォォォーーーーーーン!!!!!!




「ギョギョッ!!」






 赤の剣士レッドのパンチがボクの顔に飛んで来テ、ボクはふっ飛ばされタ!


 青の槍士ブルーの本名は宮澤正之ではなかったらしイ。




「お前、それ、ハコフグの帽子を被った、魚類学者の本名じゃねえか!」




 このままではられル。どうすれバ。


 えーイ!! 溶けテ、溶けテ……これでどうダ!




「お! なんだコイツ、今度は桃の術士ピンクに姿を変えたぞ?」


「じゃあさ、さっきみたいに、アタシに本名訊いて、訊いて! 新垣結衣って答えるけど!」




 他に手段が思いつかズ、その場しのぎだけド、ボクは桃の術士ピンクに姿を変えタ。




「いや、わざわざ本名訊かんでも、どっちがニセモンか、一目瞭然ですわ!」




 え? そうなノ?




「ニセモンは、お前じゃあ!」


「ひ、ひィ!」




 あレ?


 緑の拳士グリーンは、本物の桃の術士ピンクに向かって攻撃をしかけタ。




「ぐぉらあ! 日頃の恨みじゃ!!」




 ボガッ! ドゴッ!!




 桃の術士ピンクも応戦してるけど、緑の拳士グリーンがちょっと押してル。




「アンタ、わざと間違えてんだろ!」




 バギィッン!!!




 桃の術士ピンクの杖が、緑の拳士グリーンの顎にヒットしタ。




「くっ! バレたか!」




 お! ボク名案を思い付いタ! かもしれなイ!




 5人の中の誰かに次々と姿を変えていけバ!


 真贋しんがんを判断される前に攻撃しテ、まだ姿を変えテ、また攻撃しテ!


 これを繰り返せば勝てるかモ!




 ボクはすぐさま姿を変えタ。




「あー! 今度は緑の拳士グリーンに!」




 ボクに背中を向けた瞬間、フルーレがヤツらの体をつらぬク!




「ほら、ボクが本物やデ! みんなでアイツをやっつけてしまおうヤ!」




 さあ、誰か背中を向けろヨ! まずは一人メ……




 あ、あレ? どうしたんダ?


 ちゃんと、大阪弁を使ったのニ……、5人がボクを囲んで、必殺技の構エ!!!?




「いや、だから……、ボクが本物だって言ってるやン!」






「「「「「 特警包囲網エントリ・ベラーゲン!!!!! 」」」」」




「プギョアアアアアァァァァァ!!!」




 5人は躊躇ちゅうちょすることなく、必殺技でボクを滅しタ。


 今際いまわきわで、ボクが聞いたのは、緑の拳士グリーンの言葉だっタ。






「お前、大阪弁下手くそやねん」














★-☆-★-☆-★-☆-★-☆-★-☆-★-☆




【ヒーロー図鑑1】緑の拳士グリーン(特警戦隊ボウエイジャー)


 緑埜航平みどのこうへい(24)


 身長:175.0cm 体重:68.5kg




 〔外見〕


 緑を基調としたレンジャースーツ




 〔武器〕


 疾風の拳オラージュ・ナックル


 ※拳こぶし全体を覆う鋼鉄製ナックル




 〔必殺技〕


 ■無限マッハパンチ(左右パンチの高速連続攻撃)


 ■真空拳(カマイタチによる攻撃 ※遠距離攻撃も可)


 ・気配察知




 〔パワーメータ(変身状態)〕合計 383pt


 拳パワー(物理攻撃力):79pt


 脚パワー(物理攻撃力・跳躍力):67pt


 速さ(物理攻撃ヒット率・物理攻撃回避率):66pt


 防御力(物理防御力):62pt


 賢さ(魔法攻撃力・先読み力):71pt


 精神力(魔法防御力):38pt




 ※トップクラスの格闘家で、各項目30pt前後と考えてください。

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