第1話 緑埜航平「目立ちたいのがアカンのか!」
画面の中で、ヒポポンが死んだ。
「ワシわいっ!!」
僕は思わず叫んだ。
ヒポポンが倒されたからやない。
理由は……、いつも通りや。
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こっちでは映ってるハズや! 根拠はないけど!!
メインルームの200インチ以上もあるモニターに映ってるのは、今日のニュースや!
『本日、午後三時過ぎ、上野動物園に【
【特警戦隊ボウエイジャー】が出動したら、大概はニュースで報道される。
さっきは公共放送を観て、その次は民放を観て……これが3局目や。
ほんで、僕はモニターに集中してるわけや。
かぶりつきや。観劇で言うたら、かぶりつき状態や!
いや、「噛かじりつき」の方が、しっくりくるかもしれへん。
ただ、他の4人は全然興味を持って無い。
「
「すんません! ちょっと静かにしといてください!」
自分ではわからへんけど、僕は緊張したら、目と鼻の孔が膨らむらしい。
しかし、鼻の孔が膨らむのはわかるけど、目が膨らむってどーゆー状況やねん。
あかん、手に力が入りすぎて、汗でヌルヌルしてまう……
『暴れるヒポポンに対し、国防隊が応戦しましたが、効力は薄く……』
国防隊
『そんな中、ようやく【特警戦隊ボウエイジャー】の5人が現れました』
\\ キターーーーッ!!! //
まず、僕が切り込んで、ヒポポンに右ストレート!!
『まずは、
いや! 違うやん!
なんで、僕の攻撃、カットされてんねん!!
僕の先制攻撃で、相手が怯ひるんだから
『そこで、
いや! ちゃうねん!
このとき、映ってないけど僕、ヒポポンの背中にキック入れてんねん!
『そして、
次や! この後!
僕のド派手な、無限マッハパンチが!!
『最後に
「ワシわいっ!!」
言わな、やってられへん!
ただ、想定通りやし、いつも通りやけど……僕の活躍は
その上、5人が勝利のポーズを決めてるときも、端っこの僕は中継レポーターに隠れて、肩しか映ってへん……。
「ミド、その『ワシわい!』、本日3回目だな」
「さーん、かーい、めっ!! ……ウケる!」
後ろでは、
って言うか、相手してる気分やない……。
「なんで……、なんで僕だけ、いっつもフューチャーされへんねん!」
僕は、こんな酷い仕打ちを受けるために、正義の味方になったわけやない……。
あかん、泣きそうや。
だいたい、動物のサイをモチーフにした妖魔獣やのに、なんで、名前が『ヒポポン』やねん。
ヒポポタマスはカバやろがいっ!
あかん、泣きそうや。
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