第3話 ハロー、マイ マザー。わたしがあなたの娘ですっ!

とある国の大人たちは昔から、子供のある〝無邪気な質問〟に対し決まって、こう言って誤魔化しているのだとか——…




§



『ねえねえ、とうちゃん!』


『なんだい息子よ?』


『〝赤ちゃん〟て—— どうやってうまれてくるのっ⁉︎』


『あ、〝赤ちゃん〟か…?』


『うんっ!』


『あ、〝赤ちゃん〟は…』


『赤ちゃんはっ⁉︎』


『〝赤ちゃん〟は……〝〝キャ、キャベツ畑から産まれて来るんだっ!〟〟』


『マジでっ⁉︎』


『お、おぅ…。マジだ、マジ…っ!』



§



元の世界では馬鹿げたあり得ない話だ。



マアマぁママぁ…」



そう頭では思いつつも—— わたしは物言わぬ母親ママかもしれないキャベツヒトを、小さな手でキュッと握りしめた。


〝キャベツが人の子を産む〟


本当に…馬鹿な考えだ。


でも…ここは異世界。


そんな馬鹿な事もきっと—— この世界ではありえるんだろうなぁ……。



マアマぁママぁ…」



嗚呼…そう思うと。


このキャベツの葉の、なんと母性溢れる—— 〝ガサガサ〟



「んぬ?やたらウチのキャベツ畑が光っておると思ったら、こんな所に赤子がおるではないか。何でウチのキャベツ畑に赤子がおるのじゃ⁇」


「—— ⁉︎」



ヒョッコリ—— 異世界産の天然 のじゃロリエルフが現れたーっ⁉︎



「ハロー、マイ マザー。わたしがあなたの娘ですっ!」


「ぬあーっ⁉︎ めっちゃ流暢りゅうちょうにしゃべりよったのじゃーーーっ⁉︎」



のじゃロリエルフがキタぁーーーっ‼︎


なるほど、あながわたしの母親ママかっ‼︎



「マァマーっ‼︎」


「ち、違うのじゃっ!妾はママでは無いのじゃっ‼︎」



キャベツが人の子を産む?


いなっ—— んな訳あるかっ!



「おーい村長。夜にあんま騒ぐと、ご近所さんにいい迷惑だぞぉ〜」


「なるほど。わたしはそちらの、のじゃロリエルフとあなたの子か…。ハロー、二人目のマイ マザー。わたしがあなた達の娘ですっ!」


「………なんだコイツ」



ヒャッハァーーっ‼︎


金髪碧眼美幼女までキタぁーーーーっ‼︎


キャベツ?


なにそれ、おいしいの?


食べてみよっか?


ちぎり—— むしゃむしゃ……ゴックン。


…………あれ?


このキャベツ—— めちゃくちゃ、みずみずしくて美味しいんですけどーっ‼︎


なにコレ⁉︎


うま、うんまぁーーっ‼︎



「うへ、うへへへっ……」


「何なのじゃ、この赤子は……」


「さぁ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る