第3話 呼吸

 皆の前で 壊れた人と称され

 僕と似た壊れ方をしてると言われた

 そのとおりだったので

 思わず笑って、そうだと答えた


 わたしは壊れているだけで

 誰かを壊したりはしない

 壊れているがゆえに脆くもある


 壊れかけている人にとっては

 壊れていることが許せないのだろう

 壊れることへの恐怖からだろうか

 脆い部分へ攻撃をしかける


 とても人間的で興味深い


 壊れていない人は わたしたちを攻撃しない

 許容するか 距離をとるか

 被害を受けなければ 排除しようとしない

 良き隣人でいてくれるだろう


 わたしたちが多数派になれば

 壊れた人は誰になるのか

 常識は いとも簡単に置き換わる

 

 皆の前で 壊れた人と称されて

 似たり寄ったりの僕もいて

 良き隣人にも恵まれたので

 しばらくは楽に呼吸ができるだろう

 

 

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