第11話 独壇場

今回のゲームは個人技での攻略は不可能であると言える



というのも 単独で目立つ事など

一般人には難儀であると同時に

大多数の仲間がいる というだけで

十分目立つことが可能であるため

個人と団体ではそもそもスタートラインが違うのだ


それに加え

今回のゲームはまず間違いなく競争率が高い

脱落者の人数の上限がわからない以上

皆、必死で模索する事は目に見えている


ならば 仲間をより多く集め情報共有する事が得策であり

また、その者達の動向を見つつ仲間の誰よりも目立った行動を取れば 確実にポイント上位陣に割り込む事が出来るのだ



これらのことから、先程述べたように、このゲーム

個人での完全攻略はかなり難しい


しかし、大人数が必ずしも安泰とは限らない


大多数の人間が集団で行動すれば必ずと言っていい程 裏切りも発生するうえ、後(のち)のゲームに影響が出る可能性が十分ある事も重々承知しておかなければならいのである



影が最も短くなるころ

カケルはそんな事を考えていた


カケルの信頼出来る仲間と言えばレナ、志村、チカ

一応 暴力女もレナ伝いならば信用出来る方であろう


志村もレナとアイミの2人組も自分の視覚に収まる場所で

何かを考えている


チカの姿は見当たらないが

見つけたら声をかけよう…


しかし、レナ、アイミ、チカ

この美女3人を引き連れているだけでも

十分目立つのではないか?


念には念を…

視覚に入っている仲間に声をかけるため近寄る

近寄りながら様々なことを考える


目立ちたい、そう思ったのはいつぶりだろう…


心の底から、というよりは半強制であるが

少し懐かしい気持ちになる


とりあえず志村だ…




……………



人は人を殺せない


それは道徳的問題では無く本能的な問題である

また、人を殺したらば野生動物であるという屁理屈から来ているとも考えられる


しかし、よくよく考えてみる…

このゲームにおいて、どんなことをすれば

より多くの視線を集められるのか…


デパートの屋上から

力強く野太い英語が響く


「Hey! Look at you guys!」


デパートの屋上に軍服を着た外人が立っている


何か始まるのか、

動きあぐねていた人々は

純粋な期待感をデパートの屋上に視線として注いだ


「I will kill this man from now on!」


外人の男は奥から成人男性を引きづり出してきた


外人は成人男性と肩を組む



あ…






男性の首がねじ切られ


周囲に肉片が飛び散る


ハッキリと見えた


外人が男性の首を脇に挟み


叩き潰したようだ



阿鼻叫喚…


周囲は大パニックとなった



軍人と思われる異国人は高らかな笑い声をあげ

奥に消えていった


恐らくあれは

先程の奇形児のようなゲームを成立させるための

キャラクターに過ぎない


そう思った明確な理由は特に無いが


人をあんなに簡単に殺せるなど、



余程のパワーが無いと不可能である…


ならば、あの異国人は一体何なのか


………


考えるだけ無駄…。

異常者に見つからないよう

パニックで離れてしまった志村たちを探す

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