第25話
「あらーっ。やっぱり持ってたのね。全く警察は何やってんだ。てかおまえらグルだろ。グルになって庶民いじめてんだろこの野郎~っ。どうしようもねえなこの国は」
「やかましいっ! てめえ自分の置かれた立場がわかってるのか? 今すぐ死にてえのか?」
「うるさいのはおまえだろ。ギャーギャー喚いてないでさっさと撃てよ。どしたオラ。早く撃てよ」
大唾の目が
「どうやらてめえは狂ってるようだな。ヤクザの事務所にカチコミかけて、無事に帰れると思ったか。望み通り殺してやる」
両手で拳銃を持ち直し、照準を集金人に合わせた。
「ご託は」
銃声。
撃て撃てとけしかけていた女は
もっとも完全防音仕様の建物から音が外に漏れることはない。
「!?」
大唾の目が信じられないものを見るように大きく見開かれた。
銃弾は集金人の眉間に
貫通していない。
目の錯覚か? それとも外したのか?
「耳が痛~い。会長、撃つなら撃つって」
銃声。銃声、銃声。
数秒経った。
銃声、銃声、銃声、銃声。
八発全弾撃ち尽くした。
「それトカレフだよなぁ。もう
銃弾は全て、集金人の顔や服に画鋲のようにくっついたままだ。
んなっ! んなっ! んなあぁぁぁあ~っ!
「誉めてやるよ。口だけじゃなく、ちゃんと撃てたことを」
目を皿のようにして集金人を見つめている女は腰を抜かしたまま失禁している。
集金人はプレジデントデスクにひらりと飛び乗るや、しゃがんだ格好のまま、カチカチと引き金を鳴らしている大唾の手から左手で拳銃をひょいっと取り上げ、投げ捨てた。
恐怖の表情を浮かべ椅子に貼り付いたようになっている大唾の顔をじっと見つめる。
「一つ聞く。魔獄会のシマにちょっかいかけてきたのは、自来也組の命令か?正直に言えよ」
襲撃者からの思いも寄らない問いかけに、一瞬の間が空く。
脳内
「魔獄……会……? ああ……あれは……俺たちが勝手にやった。……自来也組は、他組織とは揉めるなと壊れたテープレコーダーのように言ってるよ。……これからのヤクザは平和共存だとな……そりゃ、下からの上がりで食ってる奴らはそれでいいだろうよ。だが俺たちにすりゃあ、少しでも自分たちのパイはデカくしたいんだよ。俺たちゃヤクザなんだぜ? 縄張りを広げたいって思うのはヤクザの本能だ。だから魔獄会に目をつけた。あんなちっぽけなとこなら食っても別にいいと思ったんだ。……てまさか、あんた魔獄会の?」
聞き返しながら大埵は自分の運命をほぼ悟っていた。
「オレが魔獄会かだって? まぁ、そんなとこだ。……ふうん、嘘はついてねえな。……そうか。おまえらのスタンドプレイか。こっちとしては手間が一つ省けたが、おまえらにとっては
「まっ、ままっ、待ってくれっ! たっ、頼むっ! み、見逃してくれえっ! お、俺が悪かった! もっ、もう魔獄会には
椅子から跳ね返るように身を起こしプレジデントデスクの縁を両手で掴み、捨てられた子犬のように上目遣いで集金人を見つめながら命乞いをした。
鷲鼻の能面のような集金人の口元がほころび、その右手を大埵の顔の前でゆっくりと上下にひらひらさせた。
アンコウの
なんの抵抗もなく豆腐を貫通するように四本の指は根元まで入った。
それらの指を内部で掻き回すように動かし、抜き取りざま斜め後方に飛びすさった。
数秒後、ぽっかり開いた四つの穴から鮮血が噴き出した。
女は脱糞していた。
「ぶっ殺すって言ったのは嘘だよ。でも普通の生活はもうできねえだろうなぁ。
「た、助けて……」
「くっさ! あなたウンコなんか洩らして恥ずかしいですねぇ。組員用の風呂場があるでしょう。そこへ行きましょう、案内しなさい」
三階に降りるとそのまますぐには二階に進まず、組員用リビングに入った。
荒異は気絶したままだった。
そこへ歩み寄り、その上半身を引き起こし後ろから両肩を掴み活を入れた。
「おい、蛮神会の枝の事務所、全部教えろ」
「なん……だと……」
「早くしろ。今日中に全部片付けんだからよ」
「おま……え……正気……か……? 今日……中に……全……部……片……付……ける……? 蛮……神……会……をか……? 何……人……い……るか……わかっ……てる……のか……?」
「準構成員入れて千人くらいだろ? いいから早く教えろよ」
「ククク……千……人を……たった……一日……で……馬鹿か」
「教えないの? 教えないなら、今この場で殺すよ」
「いい……だろう……教え……る……やって……みるが……いい」
荒異は蛮神会の事務所を全部吐いた。嘘はついていなかった。
「サンキュな」
そう言うと集金人は荒異の頭にも大唾と同じ穴を作ってやった。
「約束通り命だけは助けてやったからな」
傍らで突っ立っている女の右腕を掴むと二階へ降りて行く。
「キャアァァアアア!」
女が絶叫をあげる。
そこはブタの屠殺場のようだった。
普段、組員たちがたむろしているその部屋の中には、大唾や荒異と同様、両眉の上をなぞるように四つの穴を
「さっさと歩くんですよ。風呂場は一階にあるんですよね」
一階に降りると真っ直ぐ風呂場に向かう。
「早く脱いで。そこの洗濯機にでも入れときなさい」
女は豹柄の長袖シャツと豹柄スパッツを脱いだ。
その中には脱糞した大便がこんもり入っていた。
「アッハッハ! そんなとこにウンコなんかしちゃってぇ! だらしないですねぇ! ところであなた名前は?」
「……リナ」
「リナ、先に入りなさい」
糞まみれの尻をこっちに向けて、リナがガララっと音を立てて
内部はちょっとした銭湯のようだった。
広い浴槽と接する壁面にはご丁寧に富士山の絵が描かれている。
「お湯は入ってないな……まぁいい。さ、リナ。さっさと体を洗いなさい」
リナは体を洗い始めた。
それにしても本当に良い体だ。
肌の色は普通だが、Fカップはある
それらが体を洗う動きに合わせてプルンプルン揺れている。コロンとした薄茶色の乳首はツンと上を向いている。
「もういいですか。ちゃんと洗えましたか。ちょっとでもウンコの臭いがしたら殺しますよ」
「ひいっ」
ラストスパートをかけるように必死で下半身を擦りだした。
「……終わりました」
「こっちを向きなさい」
ヤクザの組長の情婦だけあって、下手に乳や陰部を隠そうとせず、直立の姿勢をとった。
「!!」
リナの目が丸くなった。
集金人は裸だった。
知らない男の裸くらいで驚くリナではない。
風呂場に入るとき集金人は服を着ていた。
どこにも脱ぎ捨てた服がない。
いぶかしむリナの目が一点に
集金人のシンボルが
確かにデカい。そこだけはイケメンだった。
「母乳は出るの?」
「出ません」
この男はほんとにそれしか頭にないのか、とリナは思った。
「あっそ。じゃあやっぱり出るようになるまで吸ってあげるしかないですねぇ」
集金人は両手を肩の高さに上げ、両掌をリナに向け、揉む仕草をしながら近づいてくる。
「い、いやああ」
「何を嫌がってるんです? 私におっぱいを吸われるなんてこれ以上ない光栄なことなんですよ?」
じりじり距離が縮まってくる。
掌を開閉するときに生じる風が、徐々に乳房に当たりだした。
「あああ……」
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