絶対他者実現
髪はアップに。
ギターのイアーリングを右耳だけに装着し。
首には革製の紐に吊り下げられた小さなガラス玉。
玉の中には
それが、
「ああ・・・」
ライブハウスに集まった少女も少年も、自棄になった中年の女子・男子も、明日をも知れぬ老婆・老爺も。
彼女の『正装』にただただ涙を堪えていた。
ウコクが静かに弦を震わせる。
わたしは別にいい
特に構わない
嘘じゃないよ
ほんとだよ
いじめられたけどどうでもいい
これ使ってわたしはいいから
これ食べて僕はいらないから
いいよ殴られても死なない程度なら
いいよ殺されても
優れたキミが生きるなら
ああ
話せば長くなるけれど
聞けば記憶は一瞬さ
ああ
書けば小説超えるけど
読めば評価は一瞬さ
絶対に自分はいい
絶対にどうでもいい
絶対に自分はいい
絶対に誰かでいい
わたしが死んでキミが生きる
それでいい
会場の紙巻タバコを嗜好する者たちはライターを掲げ左右に揺らした。
この歌詞の中の『わたし』『僕』だと感じる人間はうつむき、涙をフロアにこぼした。
『キミ』だと気づいた人たちは。
崩れ落ちて、泣いた。
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