第三章 新しい匂い
マヤが来た日ゴン太はマヤの匂いを嗅ぎまくっていた。
うちにはそんな新しい匂いはとんとやって来ないからな。
「ヒカルさんも辛そう」
俺とマヤはゴン太を連れて近くの商店まで買い出しに出掛ける。
マヤが俺の家で暮らしていくには足らない物が多すぎた。
服とか歯ブラシとか女子ならいるものとか。
よう分からんからマヤを一緒に連れて行くことにした。
職場の仲間や学生時代の友達に見られたら面倒くさいなと思ったが仕方ないよな。
マヤにはさっき風呂をすすめて服は俺のジャージを貸した。
ゴン太はマヤを気に入り、マヤはゴン太と言う試練を見事突破、晴れてこの日から俺ん家の居候になった。
商店に行く前に神社を通ったから俺は神社に続く階段の何段目かに座りマヤにも座るよう
夕暮れだ。
ここから海に沈みゆく夕日がよく見える。
「君の話の前に話すとしようか、俺の話を。なかなかにヘビーだぜ? 君のも重そうだがな」
「うん、聞かせてよ」
俺はマヤに話しだした。
付き合いの長いヤツらにすら話さない自分の胸の中を
会ったばかりのマヤに話す。
たった数時間か前に出会った彼女に。
もちろん聞いても貰いたかったが彼女のために話すことにした。
不幸は君だけじゃないよと伝えたくて。
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