第45話 本島

 改めて、あゆみから本島の人物像についての説明がなされた。あおいやアイリスは、それを聞く限りでは禰宜として何の遜色もないように思えた。だが、気になるのはひきこもりのことだ。本島がひきこもるようになったのは小6になってからで、そのときにはあゆみはもうアメリカへ移ったあとだった。だから、その経緯については、どうしても太一の口から語らねばならなかった。


「で、そんな大親友が、どうしてひきこもりになるの?」

「集団嘔吐事件。私が聞いているのはそこまでなの」


 あおいやアイリスが本島のひきこもりの原因について興味津々なのに対して、なるべく話題を逸らそうとするあゆみ。まりえは境内を舞う揚羽蝶を追い回す。優姫は、珍しくどうすることもできないでいる。


「本島は、最後まで俺を庇ってくれたんだ」


 そして、庇ったからこそイジメられひきこもってしまったのだと、太一は静かに続けた。


「そんな雄大だから、もう1度、一緒に活動したい!」


 太一は、力強く語った。当然、自分自身が辛い思いをしたことも、全てを明らかにした。アイリスもあおいも優姫もあゆみもしいかもまことも、1歩太一に近付き、身体を寄せ合う。意思の統一がはかられ、団結が生まれる。


「でも、どうして雄大たちは、気持ちイイー! って、ならないのかなぁ?」


 まりえだ。相変わらず頓珍漢なことを言うが、アイリスも同じことを考えていたようだ。


「それは、私も不思議でなりません!」

「んー、確かにそうよね。あんなに気持ちイイー! のに」


 アイリスに続いて、あおいも首を傾げる。


「ま、これであおいも、気持ちイイー! てなることが分かったっしょ!」

「えっ?」


 あおいは、まことに突っ込まれて、口を滑らせてしまったことに気付いた。そして、顔を耳まで真っ赤に染め上げた。だが、太一が勇気を出して過去を告白したように、今こそ自分も、元金魚だという過去を、はなそうと決意した。


「なんだー! だったら、遠慮は要らないよね!」

「そうよ。マスターには思いっきり光ってもらいましょう!」

「賛成ー!」

「そうと決まれば、密着!」

「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ! 上着脱ぐからぁあ、きっ、気持ちイイー!」

「まりえもー!」


 こうして、太一は巫女たちの餌食となり、敢え無く光を放つのだった。

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