なまだしあ
第20話 気紛れな光龍様
「ほーう。今日は実に手際が良いのじゃ」
「はい、光龍様。全ては光龍様の御神威のおかげです」
「なんのなんの。今の神威など、最盛期に比べたらまだまだなのじゃ」
太一の手際の良さに比例するように、光龍様の念数も多かった。しかし、太一が神饌を並べ終えると、光龍様の発念はめっきり減ってしまう。きっと食べるときは食べる、喋るときは喋る、寝るときは寝るという、メリハリの効いた生活をしているのだろう。だから、太一には聞きたいことがあったのだが、何も聞き出せなかった。
「光龍様、教えて頂きたいことがあるのですが……。」
「ムシャムシャ……。」
「発光体質についてです」
「ムシャムシャムシャ……。」
「光に照らされて、気持ちが良くなるなんてことは、あるのでしょうか」
「ムシャムシャ……。そのようなこと、案ぜずとも良いのじゃ」
「ですが、あゆみが言うには、気持ちイイー! ってなったと……。」
「ムシャムシャムシャムシャ……。」
「……。」
「ご馳走様なのじゃ。もう寝るのじゃ」
「……。(今日は諦めるしかなさそうだ。)」
太一は、光龍様が何かを隠しているように感じた。だが、急いてはことをし損じるだけ。今日のところは大人しく学校へ行くことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます