なまだしあ

第20話 気紛れな光龍様

「ほーう。今日は実に手際が良いのじゃ」

「はい、光龍様。全ては光龍様の御神威のおかげです」

「なんのなんの。今の神威など、最盛期に比べたらまだまだなのじゃ」


 太一の手際の良さに比例するように、光龍様の念数も多かった。しかし、太一が神饌を並べ終えると、光龍様の発念はめっきり減ってしまう。きっと食べるときは食べる、喋るときは喋る、寝るときは寝るという、メリハリの効いた生活をしているのだろう。だから、太一には聞きたいことがあったのだが、何も聞き出せなかった。


「光龍様、教えて頂きたいことがあるのですが……。」

「ムシャムシャ……。」

「発光体質についてです」

「ムシャムシャムシャ……。」

「光に照らされて、気持ちが良くなるなんてことは、あるのでしょうか」

「ムシャムシャ……。そのようなこと、案ぜずとも良いのじゃ」

「ですが、あゆみが言うには、気持ちイイー! ってなったと……。」

「ムシャムシャムシャムシャ……。」

「……。」

「ご馳走様なのじゃ。もう寝るのじゃ」

「……。(今日は諦めるしかなさそうだ。)」


 太一は、光龍様が何かを隠しているように感じた。だが、急いてはことをし損じるだけ。今日のところは大人しく学校へ行くことにした。

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