第12話 黒歴史
いよいよ魔術の実技指導!
でも、魔術ってどうやって使うんだ?
やっぱ杖?魔法学校的な。それとも魔法陣か……
そもそも、俺にそんな力有るのか?
中学時代の黒歴史が呼び起こされる……
いや、確かにあの頃俺はどうかしてたけど、全力だった。全力で知りうる限りの魔術っぽい事をかたっぱしから試してた。
錬成陣書いたり、掌合わせては地面叩いたり。左目に絶対遵守の力が宿ってるんじゃないかと、なっちゃんに命令してみたり。
色々試したがダメだった。
そんな俺が本当に異世界に来たからって急に力に目覚めちゃったりするんだろうか。
不安もあるが、期待が圧倒的に勝る!
連れて来られたのは何もないだだっ広い部屋。
「ここは部屋に術が施されているから、君がどんなヘマをしても大丈夫だ。外に被害は及ばない」
失敗を前提に話すイチミング
これはあの、精神とアレの部屋だろうか。
テンションが益々上がる一方の俺を一瞥して、イチミングが溜息をつく。
「まず、魔術の基礎を覚る事。その後実用性のある有用な使い方を身に付け、最終的には私と対等に戦える様になってもらう。これは最低目安であり、目標としては、余裕で私に勝てる位には成長してもらいたい」
「俺、女の子に手荒な真似は出来ません」
昔から、一度だって女の子に手を上げたことはない。
女の子は守るものだと教え込まれてきた。
「見くびられたものだな、君ごときに怪我を負わされる程柔ではない。精々己の身を案じる事だな。手加減はするつもりだが、手は抜かない。死んでくれるなよ」
「それでも……」
「では君は、旅の途中、妹の命を狙う女が現れたらどうするつもりだい。君が手心を加える余裕が無い程、女の実力が優っていたら。それでも女を傷付けたくないと言うのかい。それでは妹は守れない。どうするつもりだい」
ミンさんの言い分は正しい。
敵に女の子がいたら、俺はどうすればいいのだろう。超可愛い子とかだったら困る。
「今すぐにとは言わないでおこう、だが、早いうちに覚悟を決めておく事だ。そうでなければ、誰かが命を落とす事になるだろう」
一瞬、いつも無表情な顔が歪んで見えた。
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