第9話 初めてのクラフト
牧場生活二日目。春の二日。
早朝、俺は目覚めた。
最初、ここはどこだと周囲を見て思った。
異世界に転移したんだと、十秒後に気付く。
天気は晴れ。心地の良い柔らかな朝の日差しが、窓から差し込んでいる。
現在の季節は春なので、気候はとても穏やかで過ごしやすい。
この世界の季節は、春が三十日、夏が三十日、秋が三十日、冬が三十日と一年が百二十日になっている。
あくまでゲーム時代がそうだっただけで、現実となった今もそうなのかは、定かではない。
壁にカレンダーが貼ってあるのを発見。
あれを見れば、ゲーム時代と一緒なのか分かるな。
俺はカレンダーを見てみる。
うん、やはりゲーム時代と一緒で、各季節三十日の、合計百二十日だった。
一つこの世界について詳しくなったところで、俺は朝食のパンを食べて、それから外に出た。
さて、昨日出荷したトパーズの分のゴールドが入っている筈だ。ゴールドは出荷箱に入っている。
俺は出荷箱に向かい、箱を開けた。
中に六百ゴールド入っていた。俺はそれをゴールド袋に入れる。
すると、青色にキラキラと輝く球が宙に浮かび上がってきた。
ああ、そういえば昨日、女神のイベントがあったんだな。
これが
出荷して稼いだ額によっても、貰うことができる。
最初は五百ゴールドで、次は五千ゴールドで貰える。
俺は神力球を手に取った。
手に吸収されていった。
『神力球を一つ集めた!』
と機械音が頭に鳴り響いてきた。
これを後、二百個集めれば女神を助けに行くことができる。
最初のうちはバリバリ溜まっていくが、徐々にハードルが高くなってくるので、百五十を超えたあたりから、大変になってくる。
まあ、それでも二年はやれば二百は集まるだろう。
それまでに女神様の力が持てばいいんだけどな。
まず作物に水をやる。
そして俺は、モンスター小屋の近くに行く。
そして、中には入らないで、
「クラフト」
と言った。
すると、画面が出てくる。
木の柵や、爆弾、スプリンクラーなどのアイテムが、画面内に表示される。
これはクラフト画面だ。
このアイテムをタッチすると、そのアイテムが作成されて、インベントリに入る。
作成にはそれぞれ材料が必要となってくる。
インベントリに入っていれば、勝手に消費される。
大半は灰色で表示されているが、色のついた状態でアイテムもある。
色のついたアイテムは、材料が足りているため作ることが可能であり、灰色のアイテムは材料がないため作ることが出来ない。
俺が作成したいものは柵だ。
モンスター小屋の周りに柵を作れば、モンスターを小屋の外に出して、飼うことが出来る。
小屋の外に出ると、牧場に最初から生えている牧草を食べるので、エサをわざわざ買う必要がなくなる。
モンスターは肉食っぽい奴だろうが何だろうが、牧草を食べる。マロンとロンも犬っぽいが牧草を食べる。
別に肉を食べないというわけではなく、モンスターというのは雑食であるようなのだ。
だから牛っぽい見た目の奴が肉を食べたりすることもある。
雨の日や冬は、外に出ないのでエサを買う必要があるのだが。
柵を作るのに必要なのは、木材5個が必要だ。
昨日木を切った時に木材はだいぶ集めたので、足りるだろう。
俺はクラフト画面にある柵をタッチする。
ポンという音が鳴る。これでもう柵が作成された。ここで神力球をゲット、一回クラフトすれば貰える。
柵は一個だけでは足りないので、何個も作る。
とりあえず三十個は作った。
柵以外にゲートも作る必要がある。
ゲートを作らなければ、自分が柵の中に出たり入ったり出来なくなってしまうからな。
ゲートを一つ作成した。
柵をモンスター小屋を囲うように、配置していく。
杭を地面に突き刺す必要があり、結構大変である。
ゲートも配置して、出入り出来るようになった。
完全にモンスター小屋を柵で囲った。
俺はゲートを開けて柵の中に。
忘れずにゲートをきちんと閉める。
モンスター小屋にシャッターがあるので、それを上に上げらた。
しばらくすると、ロンとマロンが小屋から元気に小屋から飛び出しきた。
そして牧草を食べる。
俺はロンに近づき、体を軽く撫でた。
「ワンワン!」
ロンは嬉しそうに尻尾を振る。マロンがその様子を見て自分も撫でてと言いたいように、近寄ってきた。俺はマロンも撫でる。マロンもロンと同じく、「ワンワン!」嬉しそうに尻尾を振りながら吠えた。
こうしてモンスターと触れ合うことで親愛度を上げることが出来るので、毎日欠かさず触れ合う必要がある。
まあ、仮に上がらなかっとしても、触れ合いはするがな。もふもふですげー可愛いし。
フリスビーみたいな、遊び道具があったら、さらに親愛度を上げやすくなるが、持ってないので今は触れ合うだけだ。
二匹と十分に触れ合って満足した俺は、ゲートを開けて柵から出た。
六百ゴールド手に入れたので、町にって色々買い物をしてこよう。
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