第6話 レベルアップ

「ワンワン!」


 ロンは俺の足にすり寄って、頬をスリスリしてきた。かなり可愛い。


 凄くモフモフしたい気分だが、もう一体コボルドが出てきたので、今はやめておこう。


 最初は二匹テイムしておこうと思う。


「ワンワンワン!」


 新しく現れたコボルドも、俺の存在に気付き吠えてくる。


 ロンが吠え返して、臨戦態勢を取るが、俺は「やめろ!」と命令する。


「くぅ〜ん」と悲しそうに鳴いて、ロンは吠えるのをやめた。


 テイムした状態だと、ある程度、言うことを聞かせられる。


 最初は、「やめろ!」とか「攻撃!」とか単純な命令しか聞いてくれないが、長く触れ合って親愛度を高めると、色んな命令に従ってくれるようになる。


 今のロンでは、当然単純な命令以外には従えないが、この場面では攻撃をやめてくれさえすればいいので、特に問題はない。


 俺はロンをテイムした時と同じように、突進してきたコボルドを避けて、エサをあげる。


 同じようにエサ一個で、すり寄ってきた。


「テイム」


 と言ったらテイムに成功する。


 このコボルドの名前は、「マロン」と名付けた。


 さて、テイムを二体テイムをしたので、一旦安全地帯に離れる。


 そして、俺はステータスを開いた。


 俺一人の時は、ステータス画面は一つだけ出るのだが、今回はロンとマロンのステータスも出てくる。


 こんな感じだ。


 ロン ♂

 Lv 2

 HP(体力)  110/110

 SP(スタミナ)50/50

 MP(魔力)  5/5

 STR(筋力)  13

 VIT(頑丈さ) 7

 DEX(器用さ) 2

 INT(賢さ)  2

 AGI(素早さ) 5

 LUK (幸運) 10

 親愛度1


 マロン ♀

 Lv 3

 HP(体力)  120/120

 SP(スタミナ)50/50

 MP(魔力)  5/5

 STR(筋力)  12

 VIT(頑丈さ) 12

 DEX(器用さ) 2

 INT(賢さ)  5

 AGI(素早さ) 2

 LUK (幸運) 9

 親愛度0


 マロンの方が少し優秀みたいだな。

 あと性別が分かる。ロンが♂でマロンが♀とちょうどいい具合に、雄雌分かれていた。


 さて、目的の一つである、テイムは無事完了した。


 次はダンジョン内で金になる物を、発掘しなければ。


 これからは、レベル上げもかねて、出現したモンスターはなるべく倒して行きたいが……。


 あまり気は進まない。

 何といっても、見た目が可愛いからな。


 コボルドだけでなく、この世界のモンスターは皆見た目が可愛いのだ。

 女性もターゲットにしたゲームだから、あまり怖い敵を出すとまずいとの事での判断だろうが。


 敵が無駄に可愛いから、ゲーム時代も最初は倒すのに、引け目を感じていたくらいだから、現実になるとますます気が引けてくる。


 倒したモンスターは死ぬわけじゃなく、元の世界に送り戻されるだけだという話だが、それでも剣で攻撃したりするのはなぁ……。


 まあ、でもやるしかないか。


 レベルを上げないと、ステータスがへぼいままで、やられてしまうかもしれない。


 それにモンスターは、金になる物をドロップすることもある。倒さないで金を稼ぐのは、一苦労だ。


 やはり、やるしかないか。


 意を決して、俺はインベントリを開き、剣を取り出して手に持った。


 そして、再びモンスターが出てくる空間まで行く。


 コボルドが一体出現した。


 まずは、ロンとマロンに、


「攻撃しろ!」


 と命じる。

 それと同時に、俺も剣を持って、コボルドに向かって行く。


 敵の突進を軽く避けて、剣で一撃攻撃。


 一撃では仕留められなかった。まあ、レベル1だし仕方ないか。


 ロンと、マロンも敵に攻撃をする。


 角の突進が、敵のコボルドの腹の辺りに突き刺さった。


「きゃん!」


 その瞬間、敵のコボルドは光となって消滅した。


 たぶん元の世界に帰ったのだろう。


 一匹倒しただけではレベルは上がらない。

 あと二体ほど倒せば上がるだろう。


 ちなみに経験値は、とどめを刺したものだけではなく、全員に入ってくる。

 入る数は同じである。味方の数が多ければ、一人当たりの経験値が減るということもない。


 それから、コボルドを二体倒して、レベルが上昇した。


 レベル2となって、


 Lv 2

 HP(体力)  180/180

 SP(スタミナ)80/170

 MP(魔力)  70/70

 STR(筋力)  16

 VIT(頑丈さ) 15

 DEX(器用さ) 12

 INT(賢さ)  13

 AGI(素早さ) 12

 LUK (幸運) 11


 こういうステータスになった。

 しかし、レベルが上がる時、凄くうちから力が湧くような感じがしたな。


 これはゲーム時代では、味わえなかった感覚だ。


 ロンとマロンは、既にレベルが2以上あったため、まだレベルは上がらない。そのうち上がるだろう。


 ちなみにスタミナが回復しているが、休憩したのとレベルが上がったので回復したのだ。

 それでも残りは少ない。剣を振ってもスタミナは消費するので、気をつけておこう。


 もっとも、ゲーム時代とは違い、スタミナの消費は体で感じられるので、やり過ぎて使い切って倒れる、何てことはないだろうけどな。


 あと、コボルドを二体倒して、ドロップアイテムを拾った。


 謎の種というアイテムだ。


 これを畑に埋めて育てれば、季節にあった何かしらの作物が育つ。


 即売って金にすることは不可能だが、育てれば金になるのでいいアイテムを拾った。


 レベル2なったし、もっと奥まで行ってみよう。


 俺はロンとマロンを引き連れ、ダンジョンの奥へと歩いて行った。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る