第2話 違和感
懐かしい事を思い出した
祖父はその言葉を言ってからすぐ亡くなってしまった、だからその言葉が何なのかが未だに分からない、そう思い出に浸っていると、父が忙しなく動いてるのがわかった
「そういえば、今日って爺ちゃんの命日だっけ」
「ああ、あとお前の誕生日だな」
そっか、俺の誕生日は爺ちゃんの命日と一緒か…
「珍しいこともあるもんだなぁ…」
「ん?なにがだ?」
「いや?なんでもない」
不思議な感覚に包まれながら、祖父が住んでいた
時間が経つにつれて、風景が田園風景になってくるしかし、この風景に何かは分からないが、違和感を感じた
「父さん、この辺ってずっとこんな感じだっけ?」
「え?ああ、ここら辺はあんまり変わってないと
思うぞ、父さんもよく分からないけど」
「ああ、そっかぁ…」
違和感があるのは、久しぶりに祖父の家に向かうからかもしれない、そうに違いない
そのような他愛のない会話をしているうちに、祖父の家に着いた
久々に見る祖父の家は、何故だか自分の思ったよりも古びていた、
「いらっしゃい、忠くん」
笑顔でそう語りかけてきたのは従兄弟の香織さんだった、
「こんにちは、
「そんな他人行儀にならなくていいから!
ほらほら〜お姉ちゃんと呼んでみてよ♪」
「お断りします」
「えぇ〜、つれないなぁ...」
そう言って、不服そうな目でこちら見ているのを
尻目に、自分は祖父の仏壇に線香をあげた、
祖父の遺影を見てみると、どうにも違和感を感じる
今日もこの家に来る途中に感じた違和感と同じだ
そうやって、ぼんやりと写真を見つめていると、 写真の中の祖父の顏が何かを訴えるような顔になっていくように見えた、少し驚いて、もう一度見直してみると、写真は前と同じ笑った顔に戻っていた、
「朝からおかしいな、寝不足かな?」
そう考えながら、居間に向かうと、
「おう、爺ちゃんとなんか話したか?」
「うん、色々と報告した」
そんな話をしていると、キッチンから声が聞こえた、
「
「ま、あたしが作れるのは和食ぐらいしか無いけどね」
と自分たちにはにかみながら語りかけてくるのは、祖母だった
「俺は久し振りに母さんの切り干し大根の煮物が
食ってみたいな」
「じゃあ、俺もそれで」
父はいつもこの家に帰ってくると、祖母の切り干し大根の煮物を食べる、自分も来るたびに食べていたので祖母の家=切り干し大根の煮物というイメージがあった
祖母が作った切り干し大根の煮物を食べると、
いつもと変わらない味がした、毎年ここに来て食べる味だった
そうこうしていると、いつのまにか夕暮れになっていた、今朝のこと思い出す、祖父が最後に言った
言ノ葉とは何なのか、そう思ったが、
別に何もなく、あの時も私が怖がっているのを楽しんでいるのだろう、そうに違いない
しかし、何故だか自分の中には胸騒ぎが起こった、まるで何かが自分に迫ってくるかのように…
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