*
In the Middle Of Journey 旅の途中で
リフレインしている言葉――〝この旅が終わるまで〟……
「この旅」?
あの時既に、「この旅」というものが意味を成さない言葉になっていたのなら、彼女と約束したあの言葉も、もうよかったってことになる。でも内容は変質していても、紛れもなくこれはあの旅だったのじゃなかったのか……彼女がいる限りは……。
今僕の左には二人の老人。いちばん左の一人はもうくしゃくしゃの顔になって眠っている。いや、死んでいるのかも知れない。すぐ隣で腕を組み目を閉じている独楽出老人にもう聞きたいことなどなかった。そもそも何か意味のあることが聞けるだろうか? ひとりで考えれば十分だ。ひとりで考えたい。
正面にも右にもガラスの向こうには真っ暗い夜空と恐ろしく凍るような光で輝く星々があった。僕はその色になんだか酔ったみたいだった。もう随分時間が経ったんだ。
僕はそれからはもうずっと右を向いていた。
冷たい瞳の一つに、僕は吸い込まれていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます