第21話 人界と魔界の間
「さてと。ここに来るのも久しぶりだな」
俺は絶対結界を見上げながらそう零す。
絶対結界、約10年ほど前に魔界と人間界の間に突如として現れた強力な結界。
100人の賢者がその魔力と技術の粋を集めて発生させたとされており、魔王軍幹部といえどこの結界を超えることは出来ない。
まさに人間の英知が凝縮されたと言っても過言ではないのがこの絶対結界なのだ。
そしてダンジョンが完成したこの時期にここに来たのには大きな理由がある。
その理由は宣伝だ。
いくら質の良いダンジョンを作っても実際に訪れる人がいなかったらなんの意味もない。
そもそも人間達にとってはそんなダンジョンが完成したことすら知らないはずだ。
しかもそのダンジョンの場所はいくらワープスポットがあると言ってもあの悪名高き魔王城。
普通の感覚を持ってるやつならまず来ない。
だから先手を打つ必要がある。
そして俺はサモンの設置したワープスポットから1kmほど離れた地点で絶対結界に触れる。
そして念じる。
 ̄ ̄開け。我が名はトウマ。絶対結界を設置せしものなり。
すると触れていた手がヌプリと結界の中に吸い込まれ、続いて体全体が結界にのみ込まれた。
最強魔王軍の下克上!!ーダンジョン改造で切り抜けるレッドラインー @seisetsuna
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