世界を変えるケイドロ

幼少期、日本に住んで普通の学校に居たら一回はしたことがあるであろうケイドロ。
みんなで足を揃えてチーム分けをした鬼ごっこの延長線上のあの遊びを本気でやったらどうなるのか?
それをテロリストまで交えて本気で行うのが今作。
筒城灯士郎先生の作品で初めて読んだオリジナル作品です。
僕が推したいのはなによりも敵キャラの存在感。
こういったいわゆるジュブナイル系、少年少女が活躍する作品はとかく相手は「大人」という抽象的なものになる事も多いが、この東向きのエミルはそこが違う。
私はむしろテロリストサイドのコリーというキャラクターに強い魅力を感じました。
彼はテロリストであり、誰がどう見ても完全に悪人にも関わらず、そして自分自身も悪人だと認めながらも主人公たちに対して、子供だと認めながらも正々堂々ケイドロに興じる器量と純粋さがあるのです。
私はこのコリーという存在、キャラクターがこの小説の面白さを引き上げ、面白さを倍増させていると考えています。
また作中、実際の本になった場合を想定している部分があるが、そちらは正直web版では若干読みづらさを感じ(それは作者も重々承知していると思うが)、この作品は改めて本の形で読んでみたいと思いました。
少なくとも私はもう一度始めから読みたいと思っているし、もし読むのを迷っている方がいるのならとりあえずまず一章を読んでみてほしい。
きっと後悔はしないと思う。

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