2019/08

──────────────────────────────────────2019/08/01

 昼間は会社、帰りに見舞いと母親の迎えを繰り返す生活がスタートする。


 本日の父親は、止血かつ栄養用の点滴と、輸血が1パックという形になっていた。

 そして、本人はというと、暇という言葉を綴り出しては、その場に起き上がったりしている。


 入院患者における質の悪いけが人の様な様相を呈してきていたが・・・これから、そんな姿を見られ続けられるのは、何時までできるのだろうか?と脳裏によぎる。


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2019/08/02

 先日と同様。

 輸血は無し、止血剤と栄養剤点滴となる。

 身体の方で造血できるようになったのか、見た目的に色つやも良くなっている。


 特筆するとしたら、暇すぎる事を主張しては母親を困らせていた点であろうか。


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2019/08/03(土)

 暇という事を言い続けているので、タブレット端末を渡そうかと思ったが、初代機のiPa〇しか渡せるものが無い。


 現行のアプリがまともに動かないのは分かっているので、午前中に諸々の雑事(祖母の法事の見送りや、ごみ捨てなど)の帰り、新型のiPa〇Airを購入しにa社ショップ、Y電化製品店、E電化製品店、K電化製品店の順に回り、最後のK電化製品店でU〇モバイルルーターも一緒に購入する。


 a社ショップで、Airのセルラー版において無制限が出来ないという説明しかうけれなかったので、結局電化製品店に赴いてU〇モバイルルーターとWifiのAirとした。

 電化製品店の店員の話を聞いた限りでは、a社ショップのお姉ちゃん、営業下手じゃないかな・・・とは思った。

 何しろ、無制限とする他の方法を切り出してプッシュしていれば話は変わったと思うのにね。



 帰宅後、母親を連れて見舞いに向かう。

 病室にて初期設定を行う。

 初期設定が完了したのち、オンデマンドソフトを導入。


 自宅でも契約しているNetfl〇xとAmaz〇nプライムの二つあれば大丈夫かと思い、簡単な説明をして渡しておく。


 意外とU〇モバイルルーターの電波が5Fの病室にも電波(柱2~3本)が届いていたりしていたのが確認とれ、意外と来てるもんだなと思った。


 これで暇つぶしになってもらえればいいが・・・




──────────────────────────────────────2019/08/04

 会社帰りに見舞いと母親の迎えに行く。

 輸血は無くなったが、点滴はかわらず止血剤と栄養剤。

 造血剤もとは言っていたが、父親からの伝聞なので定かではない。


 母親のタクシー代が馬鹿にならない状況が見えてきた。

 1回で1500円以上かかるとの事。

 70歳を超えている母親にとっての脚は、父親の車しかなかった状況だったため、自転車も載せるのは危ない。


 三輪型の自転車がよいのだろうが・・・アシスト付きでは高いが、家から病院まではアップダウンが激しすぎるため、アシストが無ければ辛いのは分かるが、以前、自転車でコケて大けがを負った経験があるから、本人も自転車を使う事には危険であると自覚している。


 他に何かないかと市の方を調べてみたが、高齢者の補助が出るかと思えば、自分の市では75歳以上からの制約がかかっているため、72の母親はそれを享受できない。歯がゆい制度である。



 今の段階においては、母親本人がどうするかの考えがまとまるまで保留とする。



 見舞い時、NetFli〇の洋画が日本語じゃないから見れないと言い出す。

 画面下の言語設定を触って変える事を教えておく。

 確かに、家のでは日本語設定を先にしていた。設定忘れだと今さら気づく。


 病院の方も、何か賑わっていたが、職業体験という事で来ていた様である。



 病院から支給される着替え等が、10日以上になると馬鹿にならなくなりそうだったので、着替えを持っていく事にする。


 本人は、「ワシ、そんなに悪いんか・・・」と不安がっているが、「逆に聞くけど、輸血しなきゃいけない状況で悪くない事あるん?」と母親が父親に言い切った。


 それ、自分が母親に言った言葉だと思うんだが・・・


 以降、父親はしょんぼりとし、黙り込む。

 あきれたため息しかつかなくなった母親は、強いのだろうか?




──────────────────────────────────────2019/8/5

 止血剤の点滴は変わらずだが、食事が解禁される。

 まずは重湯からという事に。

 排泄物に下血があるか確認するという意味もあると聞かされる。


 また、先日のタクシー代に関しては、母親の病院に見舞いにいく回数を減らすという事になった。

 主に1日おきとする事になる。


 父親としては、普通だが、やはりどこかしら覇気がない。

 iPa〇Airの扱い方講習になる。


 何でも、衛星写真が見れないとか言っていた。

 どうやら、App〇eの地図で、Go〇leMAPの事をやろうとしていたみたいである。


 確かに、アプリケーションが違うという事を認識できなければ、違いについてわかるわけがない。


  地図に関してのアプリケーションが違うという事を伝え、G〇oleMAPを入れて、衛星写真が見れるようにしておいた。



 自分も、使い方が知っているわけではないが、あらかた触ればこういう事かと分かるのがこのタブレット端末の良いとこだと思うのだが・・・触り慣れてないと厳しいか?


 とりあえず、続けてメールの受信と送信が行えるようになり、兄弟から送られてきたメールに返信を返していた。




──────────────────────────────────────2019/08/06

 見舞いは無し。

 食料の買い出しや父親の着替え等の買い物に走り回る。




──────────────────────────────────────2019/08/07

 帰りに見舞いにいく。


 再びiPa〇Airの講習会もどきが始まる。

 今回はカメラを使って色々と撮ろうとしていたが、どうしてもシャッターが切れないとの事で、操作を見ていると、シャッターボタンをタップしたのかと思えば、実際はホームボタンを押していた。


 なるほど、上下方向があうと、ホームボタンとシャッターボタンが隣り合う場所になる。


 ある意味、納得もできるが、気づかないのかという思いが来る。




──────────────────────────────────────2019/08/08

 見舞いは無し。

 8/6と同じだが、父親から母親あてにメールが来る。

 検査結果が出たとの事で、治療を開始するという説明を受けたという内容だった。


 それ以上の詳しい話を聞かされていなさそうだった。

 また、近くの兄弟が見舞いに来るといってこないという内容も来ていたが、メールを送ったすぐあとで来た模様。


 たしか、9日から家族旅行に出ると言っていたので、顔をだしにきた恰好と思われる。


 せめて、甥っ子連れてきてやれと思ったが、面会時間ギリギリでは、そうも言ってられないか。




──────────────────────────────────────2019/08/09

 見舞いと迎えに向かう。

 点滴用の接続口が残っているだけであった。

 点滴回数が減ったという事を聞く。

 主治医とは自分は会えなかった。忙しい方なので、仕方ない。



 今日はタブレットでのメール返信の仕方を聞かれた。


 遠い方の兄弟から連絡が来ていたため、返信したいそうだ。

 来たメールにたいしての返信は、右上にあるリターンの様な矢印をタップすると、返信というメニュー欄が出てくると説明するも、「わし、わからん」の一点張りだった。


 こういう場合は、知ろうとしないか、初めての事なので不安になっているだけのケースなので、とりあえずは、その矢印マークをタップして、返信という欄が出てくる事を覚えてもらう。


 とにかく、触らせて大丈夫という事に慣れさせる必要がある。


 間違った操作をしても、ホームボタンで最初からやり直したら良いとも言っておく。



 こういう端末に対しては、甥っ子の方が物怖じせずにドンドン触るのに対して、年を取った人は恐れてしまう傾向があるのは、どこでもいっしょなのだろうか。




 母親が主治医から聞いた話を書いておく。


 本格的な治療はお盆を明けてから、今は胃の状況を確認しながら、とにかく体力の回復がメインであると。

 健診においても、腹部の触診と聴診が検査項目に加わったとのこと。


 聴診結果は、健康的な躍動音である。

 触診結果は、強めに押し込んでみても痛みをまったく主張しないし、不快感もまったくないとの事。

 そういえばと、過去にはしこり等が無くなってる?という話を聞かされた。



 この結果の内容が、どういう意味合いなのかはわからないし、自分が直接聞いたわけでもないが、良い結果である事を願うのみである。



 不安がらせない為に、悪い結果部分を聞かさないように隠している可能性もあるだろうから。


 歩いてウロウロしたいという事も言い出していたが、吐血する可能性があるため、禁止していると、この部分は本人にも言っているそうだ。


 そんな中、本人は知らぬ存ぜぬなのか、ソーメンが食いたいといいだす始末である。

 相変わらず、麺類が好きな人だ。




 その日の帰り、病院からの7月分の請求が来ていたので振り込み用のお金を下ろしにATMがある場所へ赴く。

 支払い額は6万とすこし。

 7月分としても、一週間かかってないのにコレである。



 支払いを終わった後から母親は見るからに疲れ切っていた表情をしていたので、外食に連れ出すことにする。



 行く先は母親が好きなメニューがある中華料理店である。

 いつもの通りに、トマトとタマゴの奴を頼む。

 自分は、レバニラとラーメンのセットにしておく。


 貧血を多発していた父親を見ると、鉄分が足りないと思い、レバーを接種する必要があるかなと思えたためだ。


 自分に着たレバニラも母親と分ける。

 味がしっかりしていて、おいしいと言っていた。

 たしかに、旨くてゴハンが進んだ。


 ついでに自分が頼んだラーメンの上にあったチャーシューが、とても柔らかくしっかりした味付けだったので、半分あげると美味しいと言ってたから、多少はよかったとは思う。




 余談だが、実家の電話回線に関する連絡がNTTから来ない事に気づく。

 NTTのサポート窓口の原Dさん、忘れられた?



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2019/08/10

 病院に見舞いに行くのは休み。

 やり取りは幾つかメールや電話で行っている。


 会社工場のホイストが故障し、修理に奔走する。

 ブレーキユニットが故障している節がなく、減速機も壊れていない

 だが、モーターを回そうとすると、負荷がかかりすぎて停止する。


 明日、モーター交換の予定という話で終わる。



 また、帰りに黄色帽子でタイヤの見積もりを取る。

 TYが一番安価だったが、8マンか・・・




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2019/08/11

 実家の窓開けと仏壇の水やりなどに奔走する。

 その足で、盆用の備え品の買出しを行っていく。


 午前中、兄弟から連絡が入り、iPa〇AirにLI〇Eを導入してと言われる。



 その日の夕刻に見舞いに向かい、さっそくL〇NEを導入するも、スマホとの併用が出来ない事が発覚する。

 スマホ側のL〇NEが消えたと、嘆かれた。


 どうも、新型のAirだとスマホ側から許可の設定をしていても、マルチ接続が不可になるようで、正直、こちらもL〇NEなんて使ったことがないため、1アドレスに1接続限定とは思いもしなかった。


 そもそも、SMSが必須の認証のため、同じ電話番号となる同一アカウントによる複数端末接続は不可になるのは分る。

 どう考えてもスマホなりでSMS端末が必須というのがネックすぎる。


 逆に言うと、SMS端末を持っていない、または複数からアクセスするタイプのSNSには適さないという話になる。


 これなら、Go〇gle Hangoutsがマシではないか。

 (これはこれで、セキュリティ上の問題があるけれど・・・)



 マルチ接続できないのは端末セキュリティ上わからなくもないが、バックアップとっていないデータが消えてしまうという点もセキュリティ上わかる。

 が、理解はするけども、納得がいかない仕様だなとしか思えなかった。



 ただ、データが消えた事には本当に、申し訳なかったと思う。



 兄弟の方には、マルチ接続が無理だった一報を入れておく。

 また、飲み物として牛乳が飲みたいと言い出した。


 次に行く際は、牛乳を忘れない様にしよう。

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2019/08/12

 前日とほぼ同じ。

 牛乳を購入して持ち込む。

 お盆のために、交通渋滞が多発している。


 移動に関しては、父親の車での移動を開始する。

 車は、バッテリーもそうだが、動かさないとだめな代物である。



 メールの新規作成からの送信方法を聞かれる。

 自分の写真を撮って、九州へ行ってる兄弟へと送りたいのだそうだ。


 とりあえず、写真を撮る事を覚えてもらい、そこからメニューを開けてメール作成を行っては、送信しておく。


 お土産にカステラと書いていたのを覚えておく


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2019/08/13

 台風が接近しているとのことで、実家の戸締りを行っておく。

 平日のため、病院が開いているので、先月の入院費を支払っておく。


 今回は、オンデマンドが閲覧できないと言われた。

 白い端末(MobileWiFi)をの画面左上の柱の数を確認する事を教える。


 どうやら、置く場所によって電波の入りが極端に落ちる場所があるようである。





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2019/08/14

 母親の眼科診療の為、午前中に病院へ送り届ける。

 迎えの時間は昼時との事で、いったん帰宅の仮眠。


 仮眠から起床した後、父親の見舞いにも向かう。

 台風10号が接近しているとのことで、明日はこれないことを告げておいて、その日は終わる。

 腹にモノを入れれないせいか、やはり言葉にちからがない。



 夕刻、実家の再戸締りを行いに回る。


 帰りのスーパーの福引で、母が商品券1万円分を当てた。

 本人はウキウキだったが、良い事の反対の悪い事がおきなければと思う。



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2019/08/15

 台風の影響により自宅待機

 特にすることもなく、一日を過ごす。


 昼ごろに九州に行っていた兄弟が土産持参で現れた。

 見舞いにも行ってきたらしい。


 話を聞くと、同室だった患者ともめたそうだ。

 その患者の見舞い人の声が大きく、愚弄気味な言い方らしく、また、患者自身も独り言に、大部屋のトイレを普通に使わないなどで、部屋の移動となった。


 そういう話なのだが、数日前にも同じ事があったようで、母親から、祖父の時に同じことやってたじゃない。と言われて、思う所があるのか、かなりしょげていたのを覚えている。


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2019/08/16

 夕刻前ぐらいに病院へ

 牛乳などの飲み物が欲しいとのことで、紙パックのモノを購入しては持っていく。

 本人はいたって元気そうである。



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2019/08/17

 同室に新たな患者が入ってきたそうだ。

 火傷とのことで、一瞬目に入ったが、包帯まみれになっていてかなり痛々しい状況だったのと推測する。



 本人は、病室から歩いて移動することができたので、談話室的なスペースに移動して話をする。

 世間話程度から、どういった触診を受けたのかの話を聞き出す。


 点滴が変更になったとのことで、栄養剤と造血剤のモノから変わったという話だった。


 明日から、本格的な薬物治療になるという事で、本人は少し気にはしている。


 実際の病名を伝えていないが、薄々感づいているのではないかという話もある。



 とりあえずは、このままで、悪くならない事を祈るのみである。

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2019/08/18

 前日と同じ様に、飲み物を持っていく。

 父親の車の自動車税が未納だったため、帰りに支払いに行くことに。


 父親の話としては、19日から本格的な抗ガン治療として化学療法に取り組むという話だった。


 倦怠感に見舞われる副作用があるため、家族としての立ち位置をしっかりもつ事が重要であるとも聞かされているので、腹をくくって覚悟を決めてはいるが、やはりその時に直面したらという不安要素はぬぐえない。




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2019/08/19

 平日にもどり、会社に向かう。

 定時となる夕刻に病院から電話がかかってくる。


 何事かと思い、話を聞いていくと、治療方針に関しての話し合いを明日に行いたいという内容であった。


 母親も同席するかどうかは、追って話をするとし、父親本人に対して、病名に関しての告知を行うかどうかの話だった。



 今日は見舞いに行く予定にしていなかったが、急遽母親の買出しのついでに向かうことにする。


 夕食時に面会する恰好になったが、食事を普通にとってはいたが、やはりどこかしらに言葉に力がないままであった。



 そんな折、看護師から入院および治療方針の概略用紙と、サインを求められた。


 内容を確認するも、いままでの治療内容とこれからの治療内容が記載されているが、今まで聞かされた内容から特段違う点はなかったため、サインを記載する。


 また、自宅療養という恰好になるため、介護ケアに関する話を行うという事で、その承諾にサインが必要という事で、この点も、以前聞かされていた内容とかわらないので、そのままサインをしておいた。



 その後、「何の話や」という事だったが、治療方針と入院に関する書面のサインだ。という事を伝えておいた。


 内容に、悪性腫瘍という記載があった点は、伝えずにいる。



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2019/08/20

 この日は母親の定期健診があり、病院に送っては午後の医者から話があるという事で説明を受ける時間まで、父親とたわいもない話をして時間がくるまでまつ。


 薬物投与のチームの人からの説明だったが


 胃癌

 リンパ転移

 肺転移

 背部(胃の裏ぐらい)の血管への転移

 腹膜転移がチラホラと見受けられる

 

 と、

 そして、内視鏡の映像を見せてもらったが、大きな腫瘍が存在しているのもはっきりと確認が取れた。


 また、化学療法を行わないともって半年。

 化学療法を行っていたとしても一年の余命との事。




 茫然自失である。



 いや、これは母親の方がもっとつらいだろうと、気を引き締め医者の話を聞く。


 外科治療はほぼ不可能。

 転移している場所が胃よりも遠い位置に存在しようとしている。

 今は、化学療法で対応していくしかない。と。



 肺・・・に転移しているにも、現状症状が無い。

 腹膜播種・・・に転移しているが、今は腹水すら発生していない。


 あるのは、貧血の症状(胃癌の腫瘍を傷つけての出血性貧血)があるだけ。

 だが、先生としては、これから症状が出てくるだろうという事を伝えてきた。



 聞けば聞くほど、目の前が真っ暗になっていく感じがする。



 そして、治療に当たり患者からも承諾の話を取り付ける為に、話を切り出さないといけないという事で、どこまで話すべきかという相談となる。



 伝えるのは、息子である自分が行うと告げる。



 ただ、転移先の話は置いておくとして、あくまでもリンパにまで広がっていっているという所までにしてもらう。



 本人に対して正直に話すと、確実に鬱になる。




 そして、病室に戻ってから、胃癌である事を告げる。

 本人は驚いていたが、手術するんか?という話になったが、手術できないとも告げながら、サイン用の書面を提出して、リンパの方にまで広がっていってるまで告げた。


 小さく広がっていってるのを抑制する為に、まずは小さくする化学療法を行うために、本人のサインが必要と伝えておく。


 SOX療法 :ティーエスワンとオキサリプラチン


 での対応を、まずは行うという事を伝えてサインをもらう。

 


 捲し立てる恰好な説明になったが、本人は完全に意気消沈していた。


 だが、いまの医療は進歩しているし、治療を受けて延命する方向にシフトするし、現在の医療技術を信じようと伝える。


 母親の姉妹も、そういう系統で数十年前に亡くなったが、当時に今と同じ医療技術があれば、助ける事もできたという話もあったぐらいである。



 そして、完治ではなく、共存していく方向でいいので、生れるなら生きながらえてほしいと切に思う。


 本人は、納得してもらえたのかどうかわからない。

 が、治療方針への同意サインをしてもらった。



 明日から、本人と相談をして、これからをケアしていかなければならない。

 生きようとする活力を持ってくれるならば良いのだが・・・



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2019/08/21

 いつも通りに出社し、仕事をこなす。

 帰宅前に大雨が降り、排水が間に合わない雨水が道路を覆いつくしていき、渋滞を作り出していた。


 自分の車はLC70なので、この程度の冠水路は問題なく進めるのだが、車高の低い車が、水たまりを避けるために右往左往しながら移動しているため、渋滞を作っている様だった。


 時速30km程度でも、水しぶきが激しく、車高の高さまで水しぶきが飛び交うという状況でもあった。


 そんな中で、母親を自宅に迎えにいき、父親の見舞いへと向かう。



 病院につくと、駐車場で偶然にも兄弟と出会う形となる。

 前を走っていた車の色と車種が同じだったので、もしかしてとは思ったが、ほんとうにそうだとは思わなかった。


 夏休みの甥っ子が車内で寝ていたが、起こすのはまかせるとして、先に親父のところへ顔を出しに行く。


 ちょうど夕食時と被っていたので、少し話をしたあと、兄弟夫婦が来たので席をはずす。


 外す際、兄弟もついてきていままでの経緯や内容に関しての意味が解らない、納得していないという話だった。


 経緯は報告という意味でメールを送っており、全てを話す事はしていない点に関して、納得していないとの事


 それはそっちの決めつけだろう?本人が判断する事だろう?


 と、まくしたてる形で自分の主張を言い続ける。こちらの話を切り出すときにかぶせるように。


 こうなっている状況では、意見を返すのは避けるべきだなと、黙って話を聞いておく。


 ここまでまくしたててくるという事は、あっちも内心では結構きている証拠でもある。自分にとっても納得できる内容が欲しいという恰好だとは推測する。



 たが、病状を全部いう事には賛同できない。


 実祖父母を続けて亡くした際の、しばらく茫然自失になったり、ちょっとした事で当たり散らしていた状況を知っている母親と自分としては、自暴自棄になっては、治療を受けずに死ぬ!と言い出す可能性が多いにある事を知っている。


 そして、本人の自覚がないまま鬱状態に入っていたのも知っている。


 鬱じゃねぇ!!と言ってはいたが、見るからに調子が悪いし、テレビも面白くないと愚痴りだすし、ちょっとした音をうるさいと神経質にもなっていたしと、枚挙に暇がないぐらい、情緒不安定に陥っていた。


 これは、遠地にいる命を預かる仕事についている兄弟も同意見で、祖父母の時の話をしていたので、それだと確実に自棄を起こして自傷に走る可能性が高いと。


 他にも、母親の方も、そういう親族を見ているし、自棄を起こした病人ほど手の付けられない。


 まぁ、それを今言っても理解はされないだろう。


 いまいる兄弟は、高校時代から親元を離れて自立していったのだから、そういう風に父親が変わっているというのは知らないのかもしれない。



 いいたい意見は聞いていた。


 では、これから俺ら(兄弟家庭の方)はどうすればいいんだ?という事に、少し考えさせられた。



 治療を受けるとなると、本人の意思を尊重するスタンスには変わりない。

 協力できる点を強力し、介助することを介助するしかないのだから。



 そうなると、別世帯となっている兄弟夫婦の家庭としてできる事となると・・・


 特にないと思えた。


 しいて上げるならば、ちょくちょく顔を見せに来る頻度を高めてあげるか、甥っ子たちを連れてあげる事ぐらいである。



 これは、母親から伝えているために、これ以上自分から言う必要もない件である。



 とにかく、兄弟側の意見は聞けたので、また吟味する話として考えておこう。




 病院から帰る頃には、雨があがり水が捌けていった。

 あの冠水路は何だったのだろうかというぐらい、きれいさっぱり無くなっていた。


 母親は、そういう道を車で走行するのは初めてだったので、こういう恰好になるんだねぇ・・・と驚いていたし、あっというまに無くなったねぇ・・・。と、再び驚いてもいた。



 帰りは、夕食の買い出しに回り、そのままその日を終わる。

 貧血が問題のために、治療開始は金曜日になったが・・・さてはて・・・



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2019/08/22

 会社帰りに母親を迎えては、実家、薬局等を回って病院へ赴く


 ちょうど食事時となっており、夕食を取っているときになる。

 いつも通りの普通に年を取った格好で、死んだ祖父そっくりになってるのが本当に驚く。


 昼にうどん、夜にソーメンと、麺好きな父親にとっては好物といえるのがでていてご満悦といったところだった。


 麺類を出された時に、献立表を渡された。


 胃に負担をかけず、貧血からの回復を目指す献立という内容であり、また、糖尿病から腎機能にかかわるカリウムの接種を抑える事、貧血用に鉄分やミネラルを取る事、腸内細菌の活性化につながるものと、見れば見るほど納得のいく内容であった。


 ついでに、iPa〇Airに、写真として残してもらっているので、内容が把握しやすく、ドリンク系のヤク〇トや、グリ〇製の鉄分補助飲料とかが並んでいた。


 自宅療養に切り替わった際の参考にはなる資料なので、持ち帰って少し調べてみようと思う。


 明日から、抗がん剤の投薬(点滴)が始まる予定である。


 母親は昼から向かっているとの事

 何事もなければよいが・・・


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2019/08/23

 午前中にメールが到着する


 排便の色等に問題はないのだが、ヘモグロビンの値が低く、投薬不可と判断された。

 貧血が発生しているらしいが、母親あてに届いたメールが転送されてきた。

 その転送してきた中に「わしの身体どないなっとんのや」「まだ死にたくない」という文面に、何とも言えない感情になる。


 いままで、ここまで弱気になった姿を見たことが無かったからだ。

 弱さを見せなかった人がと・・・強く印象に残る内容だった。




 帰宅時に見舞いにいくも、なにやら慌ただしい。


 母親が来ていたので話を聞いてみると、輸血に問題があったようである。


 輸血内容というよりも、輸血を行う作業を看護師がうまくいかずに取りこぼしてしまい、寝台を赤く汚してしまったとの事である。



 本人はいたって普通・・・でもなく、どこかしらか影を落としていたりする。



 その作業のために、こちらの面会する時間もそんなに取れずに、顔合わせと挨拶程度になった。



 今日の夜、遠地の兄弟が一度帰ってくるとの事。

 駅まで迎えにいった。


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2019/08/24

 朝いちばんに父親から母親へメールが到着する


 輸血・点滴のほかに、装置がついたという事らしい。

 どういったものなのか、要領がいまいちつかめないまま、仕事へと赴く



 帰りは病院ではなく、誰も住まなくなった実家だった。

 祖父が去年、祖母が今年の頭に他界し、実家の整理がままならない状況で父親の具合が悪くなるという事が続いて、整理がままならないままであった。


 曾祖父の代からの家のため、築100年以上もたっており、痛みが激しく床が抜けそうである。


 昔ながらの長屋的な、いや曾祖父が商店を経営していたので、その店舗だった店先が洋室に変わっているだけの代物である。


 内部には、昭和時代のレトロな木造建築。


 梁も黒染めにされておりかなり立派との事らしいが、リフォームするなり売却するなりも決まらずにいた物件である。


 この日は、燃えないゴミを集めておく事にする。





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2019/08/25

 朝から墓掃除に向かう。

 お盆の時にできなかったので、この日に行っておく。


 祖母の百か日があったが、父親が父親の為に辞退させてもらう事をお寺の方に話させていただく。


 辞退するにしても、寄付を渡せば受け取るお寺のスタンスに、ビジネスだったらこんなの無理だろうと思ったりはした。





 次に、先日につづき旧家の片付けを行う。


 その際、古銭も出てきており、寛永通寳から始まり、戦時中の紙幣、海外のもありロシア貨幣、モンゴル古銭銅貨がでてくるという不思議な金庫がでてきたりした。


 アルミ製の一銭貨とか出てきたが、錆びていたりしているので文字が読みずらい。


 そういえば、祖父は床の張替え時に床下から出てきた古銭などを集めておいたという事を思い出した。

 

 これら古銭は、兄弟が都市に戻った際に古銭屋に持ち込んでみるという事になった。


 ネットで軽く調べてみると、一つだけ、美品であるなら万越えという中国貨幣があったりした。ただ、こちらは美品などとはいえないぐらいに、表面が削りに削られている状態であるので、捨て値になりそうである。


 一番の美品というなら、モンゴル銅貨であろうか。

 一般的な銅貨的な曇りしかない状態である。



 曾祖母時代からある桐箪笥も健在しており、その箪笥の中身を整理していくと、 大正時代の代物や、昭和初期の交通地図というのが出てきていたりした。



 多少なりとも、治療費に充てれれば良いだろうとも。






 その後、見舞いに行く。

 機械装置の意味がわかった。


 点滴の詰まりが起きない輸液ポンプが接地されていたことだった。

 また、ヘモグロビンが9という事で、輸血が続けられる事になった。


 この貧血状態が回復しないと、抗ガン治療が開始できないとの事であるので、この数値を上昇させるためにと、輸血を続けるという話になった。


 病室の時に、古銭の話をしておく。


 また、本人が幼少の頃に記載していたと思われる雑記帳がでてきたが、本人は覚えていないとの事だった。


 まぁ、4、5歳ぐらいの文字を覚えたてな感じであったので、そんなものかと思える



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2019/08/26

 午前中にNTTの回線工事が来る。


 実家には誰も住んでいないので、回線を引き上げる事になっていたからだ。

 ひかり電話のため、実家の番号を住所の方へと移設する事になる。


 距離的にはそんなに離れていないので、問題なく番号移設ができたが、工事内容は特殊だと言っていた割に、ほとんどの作業を自分がPC接続して行ったのはいかがなものかと思う。


 まぁ、アナログ回線番号の確認をするために、特殊番号にかけての確認は、専門業者にしてもらうしかないので、仕方ないが・・・ううむ・・・



 午前中は、急変することもなかったので、昼から見舞いにいく。


 絶食、栄養剤点滴、止血剤点滴、輸血、と続いているためか、みるからに元気がない。



 やはり、口から物を摂取できないというのは、人としてツライところだとは思う。



 たわいもない話をし、兄弟は今日の夜の列車で帰るという事で、そのまま別れの挨拶を行う。



 次は来月に来るとの事。

 その時まで、回復していてほしい。


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2019/08/27

 いつも通りに出勤し、帰りに見舞いに向かう。


 母親が午後から見舞いに行くという事で、待ち合わせの話となる。

 はっきりと元気がないというか、力が無いというか、へこんでいる感じであった。


 やはり、絶食という事が応えているのだろうか。


「寂しいなら、また明日くるで」と冗談めかしていうと、「うん、来てほしい」という気弱な発言になっていた。


 本当に、あの当人なのか?というぐらいに



 帰り際に凹んでいる理由が母親から聞かされた。

 金に関してである。


 母親にも黙って借金を作っていた。

 その支払いを渋っていたとの事で、利子に利子が加算されているのを理解していない様子で、口論になっていたそうだ。


「わしの人生、失敗やった・・・」と言っていたそうだが、相談もせずに自分勝手に決めた結果の自業自得じゃない。と、母親にバッサリと言われて落ち込んでしまっていたからだった。


 実際に、新築後に数年間水道料金の支払いをしていなかった事件が発覚したりと、金銭に関しての管理がとてつもなくズボラになっている。


 自動車税も、通知が来てもほっといては半年後ぐらいに支払うなどを行っていた人でもある。

 どことなく、高度経済成長期の好景気をそのままの感覚でいる感じがしていたが、金銭感覚が当時の状況から抜けきっていないという恰好とでもいうのだろうか。


 生命保険も安いものをと、がん保険を外した途端コレというのも、本人の精神的ダメージを作ってもいる。


 何のための保険なのか、本人は理解していない節がありすぎる。



 将来に関しての思考が出来ない世代なのかと思えて仕方が無い。



 母親の方は、好景気時代には家庭の事情で回りとは異なって苦労していた分、将来を見据えた行動(最悪の結果が待っている状況を推測)が出来る人なのだが、感情で先走る人なので、こちらもこちらで色々とあるかもしれないが・・・



 悩みの種の一つに、父親の隠されていた借金問題をどうするかが浮上した。

 頭が痛い問題がさらに増えてしまった・・・



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2019/08/28

 父親の車で出勤

 たまには動かさないとというのと、燃えないゴミの日なので積みこみやすいかったからというのもある。


 そのまま仕事に行き、帰りに母親を家に迎えに行ってから病院へと見舞いに行く。

 輸血の結果、ヘモグロビンは9.5に回復し、明日、ようやく抗がん剤治療が開始できるという事だった。



 やっと治療が始まるとの事だが、ここまで約ひと月


 余命半年の内一月というのは、とてつもない時間だと思えるが、出血が収まり貧血が解消されなければどうともできないという話でもある。


 このまま問題なく治療が開始できる事を祈る。



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2019/08/29

 出勤しては、家に帰る。

 父親の車に乗り換えてから、病院へと見舞いに向かう。


 抗がん剤治療(SOX療法)が開始し、本人に話を聞くと両手が痺れてしまうという事で、うまく物が持てないと言っていた。


 ただ、それは医者も先立って言っており、そういう症状になるのは一時的なモノであるという感じであった。


 普通に食事(といっても、スープや重湯)を取っては、状況の話をしていた。


 とにかくツライ症状が出たらすぐに医者に伝える事を言い続ける。


 薬が合わないままでいる事がダメと納得させておく。



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2019/08/30

 いつも通りに出勤し、帰りに見舞いに行く。


 手が痺れたという症状は回復したようだが、背中が痛いといっており、血液検査の結果、塩分が異様に少なくなっていたという事だったらしい。


 そのため、母親はコンビニなどで塩分補給用の飴などを買い置きしていた。



 そうして、話をしてからの帰り路、母親から驚きの話を聞くことになる。


 父親が、母親にも内緒で借金していた事。

 借金の金額は数十万。

 それを母親は「私が払う」の一点張りだったが、話を聞いていると大事な支払の部分が抜けている事に気づいた。



 大事な部分、それは父親の入院費と治療費。



 その部分に関して抜けており、その部分を話していると、これから出費する分を考慮していたなかったと聞かされた。


 その夜、ここまでの話なのだからと、遠方の兄弟へ相談しろといっておき、連絡をしたら、遠方の兄弟が支払うという事になった。


 こちらも払えるといえば払えるが、生活費と実家のローン支払いが圧し掛かってくるために、苦しいと推測できるので、この提案は助かったといえば助かった。



 そうして、自分の口座に振り込みを行うという事で、後日確認する事にする。




 ただ、その後、母親は実家の整理で早くモノを売りたいという事を零すことになった。


 それは後でも良い事だといっても、はやくお金がないと、ないと・・・



 と・・・

 親としての矜持があるのは分からなくもない。

 だが、少しは息子兄弟を頼れと



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2019/08/31

 10月の値上げ前にと、車のタイヤの手配を澄ましておく。

 13万~14万かかった。

 LTタイヤで探すと、仕方ないといえば仕方ない。


 午前中から、庭の園丁が入るということで、その間に車をどかす意味も含めて外出していた。



 夕方ごろに、いつも通りに見舞いに行く。

 痺れもなく、とにかく疲れている状態とでもいった感じであった。


 痛みが無いのが不幸中の幸いだろうか。


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