第七話 無慈悲

 久姫の方を見る。左腕を抑えているがムカデの式神がいない。静香の顔からして、久姫も勝負に勝ったのだ。

「さあどうするお二人さん。お前たちにはもう式神が無いんじゃないのか? もし他にもあるのなら召喚しているはずだからな」

「く…」

「今から言うことに答えろ。雨宮好恵はどこにいる? そして雨宮の式神は他に何がある? 召喚士は他にもいるのか?」

 恐らく二人は答えないだろう。そんな口の軽い奴は雨宮の仲間にされず、即刻始末されているだろうから。だがこちらも今を逃すと知る機会がない。どんな手を使ってでもしゃべってもらう!

「あ、[ルナゲリオ]!」

 菊子が指差した。そちらを見る。子供の骸骨が鎌を持っている。これも式神か!

「物部静香ニ蘇我菊子…」

 その式神は二人に話しかけた。

「ちょうど良かった! きっと先輩が心配して援軍を寄こしてくれたんだ!」

 援軍だと…? こちらの戦力が疲弊しているのにそんなものが来るとは…。

「違ウ」

 式神がそう言った。そして菊子に近づいて触れる。すると菊子はバッタリと倒れた。

「そんな…! 先輩がどうして? 何でなの[ルナゲリオ]!」

「オ前タチ…。サッキカラ見テイタガ[アポロニア]ト[リオネッタ]ヲ壊サレタ。オマケニ[ヤタガロウ]ト[ビペルンア]モヤラレチマッタミタイジャナイカ。モウ勝チ目ガナイオ前タチヲ誰ガ助ケニ来ル? 俺ハ敗者ニ用ガアル。ソレガオ前タチナラ口封ジシロト言ワレテイル」

 その式神が今度は静香に近づいた。そして静香に触れると静香もまた、地面に倒れ込んだ。

「コレデ用事ハ済ンダ。俺ハ帰ルゾ」

「待てドクロ!」

 しかしもう去った。早い。

「と、と、陶児さん…。こ、この人たち…」

 久姫が非常に怯えている。

「どうした?」

「し、死んでるわ…」

「何だって!」

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