第二話 手下
「おかしいわね…」
増尾はちゃんと死んだ。[ルナゲリオ]が完璧にやってくれた。だが、高松の池で出会ったあの二人…。陽一とイワンとか言ってた高校生。二人が死んだことがニュースになっていない。あの怪我で、あの雨を浴びれば確実に死ぬはずだが…。
「くっ…」
先月殺した三人組の姿が完璧に思い出せない。あの時はこんなことになるとは思っていなかったので一々制服を確認したりしていない。
今日は休講になった。理由は教授が死んだからだ。アパートの自室でパソコンを開いて検索する。
「こんなにあるの…」
市内だけでも制服を採用している高校は多い。ひょっとしたら市外かもしれない。こっちに来たのはニ年前。そんな短い期間で高校生と関わる機会なんてほとんどなかった。だからどこの高校がどんな制服なのかわからない。
「一つずつあたって行くのは効率が悪いわね…。どうしたものか。ねえ[ルナゲリオ]?」
「俺ニ聞クナヨ」
[ルナゲリオ]の知能は当てにならない。聞いた自分が馬鹿だった。
「うーん…。ん? イワン?」
片方は金髪の外人だった。そこから探すことはできないだろうか…? 高校生でイワンという名前。それだけでも十分絞り込める。
だが自分が直接行くのはどうか? 顔を覚えられているだろうし式神の対策もしてくるだろう。[ルナゲリオ]は見せてはいないが初めて見る式神を警戒しないはずがない。[ルナゲリオ]は、式神はあの世に連れていけない。式神で守りを固められたら[ルナゲリオ]は役に立たない。
好恵はスマートフォンを取った。そして電話帳を開き、電話した。
「もしもし、風間? 今日は休講だから暇でしょう? 一つ頼みたいことがあるんだけど、聞いてくれる?」
「いいですよ。先輩のためなら何でもしますよ俺!」
「高校生を探して欲しいの。高校はわからないけれど、イワンって名前の高校生。どこの高校か、どこに住んでるかもお願いね」
「了解しました。すぐ調べます」
電話はもう切れた。彼ならすぐにでもイワンにたどり着けるだろう。ひょっとしたら自分の代わりに始末もしてくれるかも。
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