第二話

 この少年…。何者だ…?

 二十年前初めて人を殺した時、バレないように完璧に埋めたはずだ。それなのに先月、遺体が発見された。あんな道で、どうして…?

 あの日の通報は録音されている。それを聞く。

「…もしもし、警察ですか! 人の、頭みたいなのが埋まってるんです。早く来てください! 場所は…」

 この声の主は若い。そして男。名前は名乗ってはいない。そこがむかつく。名前さえわかればすぐに調べて消せるのに…。

 どうやって遺体を掘り当てたのかは知らないが、事件が発覚したのがまずい。警察の中では、一部の連中があの事件を追っている。自分に繋がる証拠は存在しないが、変な行動は怪しまれる。今年も誰か、殺すターゲットはもう決めているのに…。

「何故だ。何故今になって発見されたんだ…」

 もう一度、録音を聞く。

「埋まってる…。そう言っているな。この少年は、まるでそこに遺体があることを知っていて、だから掘ったのか…」

 通報は公衆電話からされている。その公衆電話ももう既に調べた。指紋も採取したが、ここからこの少年にたどり着くことはできそうにない。また現場にも、何も残っていない。

「…絶対に、見つけてやるぞ…。待っていろ、少年よ。その時がお前の最期だ」

 この少年さえ消えれば、安心できる。そしてまた、殺しを再開できる。仕事の合間に探せばいい。

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