第三話 謎の光
秋休みが明け、普段通りの日常に戻った。
「お前またやったのかよ? つーかよく飽きないな」
大和、健一と秋休みに起きたことについて話をする。
「お前の方はどうだったんだ、大和?」
「別に大したことはしてないな。ずっと家にいたよ。しいて上げるなら勉強ぐらいか?」
「健一は?」
「ずっと部活だ」
秋休みなんてあるだけ意味ないじゃないか。そう思う。いや、普通過ぎる毎日が詰まらないだけか。
「あ、後藤先生が来た」
「テストか。めんどくさい。どうせ秋休みの宿題のコピペだろ? 何が実力テストだよ、暗記できる奴の勝ちじゃん」
大和が文句を言う。実際に大和は勉強が苦手というわけではない。ただ、暗記の類が苦手ではある。
今日はテストだけで終わった。準は、生物は完璧だったと確信する。世界史もできた。ただ、数学はもっとやっておけばよかった気がする。まあいつものことだ。
寮の部屋に戻る。一人でいるとやることがない。まず大和が戻って来た。
「飯食いに行くか」
「そうだな。早めに行けば食堂も空いてるだろう」
二人は食堂に行った。ご飯はいつものメニュー。天丼定食だ。
「お前いつもそれだよな」
大和が言う。
「大和と違って俺ん家は金持ちじゃねえの! それに妹に金、貸したから今月ピンチだしよ…」
「俺だって金持ちじゃないよ。あれは柊さんのお蔭さ」
大和の祖父は柊という家の執事で、その家長のお許しで仕えている家に家族で住んでいる。確かに磐井家は金持ちじゃないだろうが、柊家は大金持ちだ。
「俺もお前みたいな豪華な夕食を食べたいぜ」
「妹に金返してもらえば?」
「正月まで返してくれないよ、いつも」
二人でそんな話をしながら食べる。食堂のテレビがニュースを伝える。
「今夜は晴れているので流星群が見れますよ」
「だってよ大和。見てみるか? 健一も誘ってよ」
「仙台の夜に? 無理無理。都市の光で遮られて全然見えねえよ」
「でも夜やることないだろう? 見てみるだけしてみようぜ」
強引に誘ってみた。
健一は夕食を食べてから部屋に帰ってくる。
「流星群? 見えるのか?」
健一は誘いに乗ってくれた。
「それは外に出てみないと」
「仙台じゃ見えねえよ」
そんなこと言いながらも大和はついてくる。三人は寮を出た。
「門限の十時までには戻らないとな」
「それまでに見えればいいんだが…」
空には雲一つない。月が輝いている。天気は完璧なのだが、やはり大和の言う通り、都市の光が眩しい。一等星すら見つけるのに手こずる。惑星なんて最初から見えない。
「これじゃあ無理じゃね?」
準が自分で言った。
「だから最初に言っただろうに。何をわかりきったことを」
大和が言う。
「まだ時間はある。もう少し粘ろうぜ」
健一はまだ観測を続ける。流石は野球部。そう簡単には諦めない。
門限まであと一時間くらいだろうか? さっぱり流星群は見えない。それでも三人は粘ってみた。
「おや、あれは…」
大和が言う。見つけたか?
「点滅してる。飛行機だな…」
はあ、と三人ともため息を吐いた。その時だ。
「おいアレ! 何か落ちてくるぞ!」
準が叫んだ。
「あ、本当だ。やっと流星群見れたか!」
大和が、準が指差す方向を見る。
「…何か様子変じゃないか? 流星群ってあんな感じなのか? また飛行機っぽいぞ?」
健一の言うことも一理ある。光は点滅している。だが、不規則な点滅だ。飛行機ならあり得ない光り方。
「おい! 落ちてくるぞ!」
光は消えた。だがそれは近くの榴ヶ岡公園辺りに降りた。
「何だあれは?」
「近くだぞ。行ってみるか?」
三人はクリネックススタジアム前から榴ヶ岡公園に移動した。
「この辺だと思うが…。そっちはどうだ?」
「何もないな…。幻でも見たか?」
「いやあれは実在してたぞ…。まさかUFO?」
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