第八話 古代人の声

 民宿に帰って来た六人。みんな帰りの準備をしている。発掘したものは全て破壊・破棄した。

「みんな、いいな?」

 烈成が言う。みんなこの遺跡のことについては、墓場まで持って行くことに決めた。あの教授のような人を生み出さないためにも。

 次の朝一番でバスに乗った。

「結局単位もバイト料も出なさそうだな…。時間も無駄。とんだ無駄足だったよ」

 悟がそう言う。みんな同意してあれこれ言う。だが恵理乃は別のことを考えていた。

「城が眠るぞ! みな逃げよ!」

 あれは誰が言ったのだろう? よく思い出すと知っている声じゃない。少なくともあそこにいた誰かが発せた台詞ではなかった。城が眠る、ではなく崩れるの方があの場合正しい表現だ。暗に意味するより直接言った方が早いからだ。

「古代人の意志がそこに残っていた…」

 一人でそう呟く。きっとはるか昔に機械を、世界征服を止めた古代人が助けてくれたのだろう。同じ意志を持った自分たちのことを。

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