第11話 すれ違っていただけ
休み時間に先輩の教室へと行く。覗いてみると、先輩はいるようなので、近くの人に先輩を呼び出してもらった。先輩はやって来ると
「ちょっと校舎裏行きましょうか?屋上だと、多分彼が来ているかも知れないから。」
と僕の手を引き、校舎裏へと向かっていった。
「さて、わざわざ、わたしの教室まで来て、なにかあったのかしら?」
先輩は何事もなくそう言った。僕が屋上に来ないこともスルーしているかのように。本当に切り捨てられたんだろうなと僕はそう考え、
「はい、先輩にお別れを言いに来ました。屋上には、僕の「元親友」が最近行っています。先輩と話したりしている人ですね。「元親友」とは、もう、元には戻れそうにはありませんでした。僕のせいで。その「元親友」が、望んだ場所、どうも屋上のようですね。そこに「元親友」が行く限りは、邪魔をしてはいけないと思ってます。なので、もう、「元親友」がいる限り、屋上へ行くことはありません。今までありがとうございました。」
「ちょっと待って、待ってよ。意味がわからないの。最近良く来る子が、あなたの「元親友」なの?ごめん。わたし知らなかった。なぜ、君が来なくなったのか、本当は、知りたかったの。でも、約束したでしょ?屋上で会いましょう、日常の一部なのよって。だから、信じて待ってたの。
それに・・・今日、わざわざ来てくれたのは・・・返事がもらえるからだと・・・期待してたの。緊張してたのに・・・。
だから、お別れなんて言わないで。屋上じゃなくても会えるでしょ?もし、君がいいなら、また別のところに、ふたりの場所をつくればいいだけでしょ?」
先輩は少し照れながら、いつもの微笑みを僕にくれた。スルーしていたように見えたのは、どうも、緊張していたからのようだ。
「先輩が「元親友」と仲良く話をしていたのを見て、僕は、もういらないんだと思っていました。てっきり「元親友」から聞いて知っているとばかり思っていましたから。先輩と「元親友」の関係を壊すのはいくらなんでも駄目だと思っていましたし。だから、屋上に行くことの出来ない僕は、お別れするしか無いって。」
「はっきり言うわ。彼から告白はされたわ。というか、別れてからすぐ私に告白したの?その子?なんにも関係ない間柄だったのにね。でもすぐ断ったわ。それでも、彼は屋上に来て私に話しかけてくるの。別に嫌ではないから、話はしていたわ。でも、頭の中では、君がいつ来るかいつ来るかと考えていたのよ。」
先輩はすぐに僕の言葉への反論を返してきた。
「そうでしたか。では、僕はまだ先輩の側にいてもいいんですね。」
「うん、いてもいいじゃなくいてほしい。」
先輩は、頬を染めてそう言った。
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