第12話 もうすこし・・・


 先輩に「元親友」と会うなとは流石に言えない。ただ、先輩と僕が仲が良いということは、先輩と付き合ってるという噂から気付いているだろうし、僕に恨みを持っている。だから気をつけてほしい。その願いを先輩に告げる。


 「先輩が優しいのはわかっています。ただ、きっと「元親友」は僕に恨みを持っています。だから、先輩に被害が行くかもしれない。でも、会わないでとは僕から言えることじゃないから。だから、気をつけてほしいです。」


 「うん。気をつけるわ。ただ、会わないでっていってくれていいのよ?心配してでも、ヤキモチでもあなたから言われるのなら嬉しいのだから。」


 先輩は、また僕に優しく甘い言葉を投げかける。


 「言いたいですけど・・・先輩を縛るのは。まだ、なにも言えてないわけですし。もう少し、もう少ししたら。。。」


 僕は逸る気持ちを抑え、そう告げる。


 とりあえず、「元親友」、「初恋の彼女」と僕の間であったことを、話しておいた。ふたりが、僕が彼女にキスをしたことを知ったことで、別れてしまったこと、キスのことを僕が隠していたと思っていること、まあ、実際話さないほうがいいと思って話してないのだから、隠したと思われても仕方ない。

 ふたりにできることは終わった感があるが、「元親友」との仲の修復は無理としても、「初恋の彼女」だけは、もう少し、もう少しだけ見守っていたい。僕のせいで別れることにもなったのだから。幸せになるなにかを見つけてくれるように。そう僕の思いを先輩に話をした。


 「わかったわ。もう少しね。本当にこんな美人な先輩を待たせて悪い子ね。」


 先輩は、ふざけてそんな事を言った。


 先輩と話した日以降、やはり、「元親友」とふたりにするのは心配なこと、先輩がふたりの場所を移してもいいと行ってくれたこともあり、先輩と僕の過ごす場所は屋上から中庭へと変更した。ふたりの場所として移動をしたわけだけれど、移動してからちょくちょくと「初恋の彼女」もここへ来るようになった。

 理由としては、


 「「僕」くんのお気に入りさんと話したりしたいの。」


 ということであった。実際、仲良くふたりで話したりしているところを見ると、なにか安心できるものがあった。ただ、初恋の人と今現在好きな人とともに居るというのは、なにか複雑な気持ちも無いわけではないが。

 それでも、「初恋の彼女」が、元気でいてくれていることは、本当に喜ばしいことだと思っている。


 「「僕」くん?まだ告白しないの?まあ、告白していない今でもアツアツなのはわかっているけど。」

 

 にやにやしながら、「初恋の彼女」はからかってくる。

 だけども、僕はそれに対して平然と返す。


「そろそろする予定だよ。もう心配ないみたいだしね。」


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