第05話 僕の犯した罪の重さ
ここ数日、僕は屋上に行かずにいた。空き時間は告白を見て逃げ行き着いた中庭にいる。考えることは、もし先輩が付き合うならば「おめでとう」と言えるのか、そして、今後今までのような関係ではいられないと伝えられるのか、
でも、伝えなければいけない。
元親友と彼女のときのような無様で身勝手な僕を見せてはいけない、先輩には幸せになってほしいから。でも言えるのか・・・そんな考えが堂々巡り・・・
とにかくはやく先輩と会話を交わせるよう頭を心を落ち着けなければ・・・そんな心持ちで時を過ごしていた。
そんなある日、元親友の彼女に声をかけられた。話したいことがあるからと。話すのも嫌だろう僕に声をかけてきたのだから大事な話なのだろうと。僕は逃げられない。今日の放課後、校舎裏で合う約束をした。
放課後、校舎裏に向かうと、彼女が先に来ていたので「おまたせ」と挨拶した。
彼女は、まず、先輩からの伝言を僕に教えてくれた。どうも、今日、僕がいないときにきて、明日の放課後、屋上に来てと伝えてほしいとたまたまなのだろう、彼女にお願いしたようだ。僕は「わかった」と彼女に伝え、お礼をいう。
これで用事は終わりかなと思ったけれど、どうも、本来の用事はこれからのようだった。
「先輩と付き合ってるの?」
「付き合ってないよ。」
「でも、仲良さそうだね。」
「屋上に1人でいるときにお世話になったからね。」
「そっか。」
なぜか彼女は先輩のことを気にしているようだったが、これ以上先輩との関係を話す必要もないので、
「用事はこれで終わり?」
と彼女に尋ねる。
しばらく黙っていた彼女だったが・・・いつのまにか彼女の目から大きな雫が流れ落ちる。
「私は「元親友」くんが好き。だけど・・・だけど・・・あの日あの時、あなたが私にキスをした。そして、私に忘れないでほしいと願った。あなたの言葉は「元親友」くんが私にくれたどんな言葉よりもとてもとても重かった。私の心にいつまでも残るように。だから、どうしてもあなたのことが気になって気になって仕方ない。「元親友」くんが好きなのに・・・私どうしたらいいの?」
その言葉を聞き、僕は罪悪感に蝕まれた。そして、今になって知った僕の身勝手な
行動、発言が彼女を苦しめていることに。
でも、僕に言えることは・・・
「ごめんなさい・・・」
これだけだ。どんな言い訳をしても無意味なのだから。僕が犯した罪なのだから。
しばらくして、彼女は涙を溜めながら
「こっちにきて」
と僕を誘う。僕に逆らうすべはない。言われる通り彼女の側へと近づく。
すると彼女はいきなり僕にキスをした。
「あなたもこのキスを忘れないで。私を忘れたら駄目だから。あなたも私と同じ思いを味わって」
「それと、あとひとつだけ・・・私はキスはあなたとしかまだしたこと無いから」
彼女は僕から顔を背けそう言い、立ち去っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます