第04話 告白はまた別の世界へ僕を引き込む
今まで、ただ、元親友と初恋の彼女をさけ、ひとりになる場所として、屋上へと向かっていた僕だったけど、今では、先輩に会うために、会いたいがために行くという目的が増えていた。心なく向かっていた時よりも心が軽い、先輩がいてくれてよかったと思う日々になっていた。
それでも、やっぱり僕には、なにかしら幸せにはなれない出来事が待っているのか、また、僕の心を蝕む出来事が簡単に起こってしまう。
いつものように屋上へと向かった僕だったが、見たくないものを見てしまう。先輩が誰かに告白を受けているようだった。
そして聞こえてきた先輩の言葉
「考えさせてください」と。
先輩が断らない
先輩が受け入れるかもしれない
そうなのか…先輩がすぐに断らなかったってことは、相手に興味がきっとあるのだろうか。なら、僕はもう側にいちゃいけないんだ。邪魔しちゃいけないんだ。そんな先輩に対しての思いで、
頭はグチャグチャ…
知らず知らず屋上から遠ざかるよう走り出していた。
親友とその彼女の時を思い出す。先輩と告白の相手に、元親友と彼女がかぶってしまう。もうあんなことはしたくない、困らせちゃならない、裏切っちゃならない…離れなきゃ離れなきゃ…と。
今まで過ごした屋上、やっと、僕らしく過ごせる場所へと変化してきたところで、失うのかと、少しずつ少しずつ惹かれていった先輩を失うのかと、ほんとこれからどうしたらいいのだろうと、また、僕は底なし沼に心が沈むような気持ちだった。
本来なら、直接話を聞かないとわからないことなのだけれども、もし、「付きあう」と先輩の口から聞いてしまうのは、ちょっと無理だ。僕はきっと目の前で泣いてしまうだろう。
悔しくて、悲しくて、怖くて…
だから逃げた。無意識にも逃げていた。
僕は知らず知らずのうちに校舎裏に来ていた。無意識にも人のいない方いない方へと来ていたようだ。そこで、僕は植木の当たりに倒れ込み走ったことで荒ぶった荒い息を整える。
「はぁ、結局は裏切り、無理やりを犯した僕への罰なんだろうな…」
そう、こんなやつに幸せなんて訪れないんだろうと、初恋の彼女の思いが残ってると思っていたけれど、それでも、先輩のこと、ここまで、好きになってたなんて、こんな最低なやつは誰も相手にするわけがないよなと思ってしまうと、そんな思いが心にすとんと落ちると、なんだか泣けてきた。
ひとりになるためやって来た初めての中庭で僕はポツリとつぶやき、
空を眺めた。
涙がこぼれ落ちないように。
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