理系女子が正論で“論破ぁ!!”する話。
「・・・・・・おめでとう」
そう言った私の顔は、笑っていましたか?
貴方のことが好きで好きでずっと傍にいたのに、嫌われることが怖くて言い出せなかった・・・・・・。
昔々からの私の悪い癖。私が言えない間に、言わずにいる間に、勇敢にも立ち向かっていく女性たちが私から彼らを奪っていく。
また、ダメだった。
「・・・・・・ダメだなぁ、私。あの時から何も、変わってない・・・・・・。」
「それは間違っています。」
涙を拭って顔を上げると、太陽を背負った同年代の女の子が、私を見下ろすように立っていた。
「人体の細胞の数はおよそ60兆個。単純計算すれば、1ヶ月で30兆個、2ヶ月で60兆個が新しい細胞になっていきます。つまり、毎日1兆個の細胞が入れ替わっています。これは毎時約416億個、毎分6億9444万個、毎秒に直すと1157万個もの細胞が入れ替わっています。だから、貴女の発言は間違っています。」
驚きすぎて咄嗟に言葉も出なかった。
「では。」
それだけ言うと彼女の膝丈まである白衣を翻し、颯爽と去っていった。その堂々たる様を見つめていると、今まで悩んでいたことが全てバカバカしく感じられ、私は自転車を取りに駐輪場へ向かった。
明日からは、彼と少しでも一緒にいるために遠回りしていた下校路も、戻そう。そして、それを明日の朝彼に伝えよう。今日みたいに中途半端じゃない、心の底からの「おめでとう」と共に。
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