7日目 嵐の予感②
二人で後夜祭の花火を見ている。那智の瞳に花火が映って輝いている。周りに人気はない。
『那智』
『ん?どうした??』
『私ずっと前から那智のことが好きなの』
数秒の沈黙。それがさやかにはとても長く感じられた。
『え・・・・・・』
那智の口から零れ落ちた音は、顔色を見れば喜びでないことは明らかだった。
顔から血の気が引き、肩が小刻みに震えている。
“大丈夫?”そう声をかけようとして手を伸ばす。
『ひっ』
そう小さく悲鳴を上げた那智の目は涙が今にも溢れそうなほどに潤んでいる。
『ご、ごめん』
蚊の鳴くようなか細い声を絞り出し、那智はさやかとは反対方向に駆けて行く。それを追いかけることは、さやかには出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます