7日目 嵐の予感②

 二人で後夜祭の花火を見ている。那智の瞳に花火が映って輝いている。周りに人気はない。


『那智』


『ん?どうした??』


『私ずっと前から那智のことが好きなの』


 数秒の沈黙。それがさやかにはとても長く感じられた。


『え・・・・・・』


 那智の口から零れ落ちたは、顔色を見れば喜びでないことは明らかだった。

 顔から血の気が引き、肩が小刻みに震えている。

“大丈夫?”そう声をかけようとして手を伸ばす。


『ひっ』


 そう小さく悲鳴を上げた那智の目は涙が今にも溢れそうなほどに潤んでいる。


『ご、ごめん』


 蚊の鳴くようなか細い声を絞り出し、那智はさやかとは反対方向に駆けて行く。それを追いかけることは、さやかには出来なかった。

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