5日目 こんなの知らない④

 私が頷くと、彼はゆっくりと話し始めた。


「俺が初めて好きになったのは、同じ幼稚園に通う男の子で、その時はそれが普通だと思ってた。けど、小学校を卒業する頃にはそれがだって知った。それとなく話を振った時、あまり否定的ではなかったから母親に打ち明けたんだ。そしたら、母は“気持ち悪い”と目で訴えてくるように、異形のものを見るように俺の事を見てきた。を生涯忘れることはないと思う。それくらい強烈だった。それから色々あって俺は父方の祖母の家に預けられた。そこで俺は悟ったんだ。人に知られたら、嫌われるんだって。一緒に過ごしていたら、いつかはバレる。また、拒絶されたくなかったから俺は祖母ばあちゃんに言ったんだ。そしたら、祖母ばあちゃんは全て知ってた、知ってて俺を預かることを決めてくれた。だから祖母ばあちゃんが教えてくれたってやつを同じ悩みを抱えてる人にも与えたいって思って、白百合と会うことを決めたんだ」

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