第32話:キーンの異変

一時間後、カプセルが開き、応急処置を終えたレイは目を覚ます。

大きく負傷した腕も、指先まで動く。

右を向くとタイガも隣のカプセルの中で眠っている姿を見て安心するレイ。

ドクター「今の状況で治せるのはここまでだ。」

レイ「大丈夫です、司令室へ行ってきます。」

司令室へ向かうと、モニターには敷地内のカメラで被害の甚大さがすぐに理解できた。

戦況は悪化するばかり。

特にひどい場所の画面を見ると、味方同士が交戦しており、中でキーンがWAZの軍人に攻撃している映像が流れている。

レイ「何があったんですか?」

通信担当「さっきまで身内同士の交戦を止めるような動きをしていたキーン少佐が急に攻撃し始めた。キーン少佐側の味方全員通信に応答もない。詳細は不明だが、操られているように見える。」

レイ「止めてくる!」

すぐさま振返ると走って出口へ向かおうとする。

ジョージ「待て!」

大声にレイがピタリと止まる。

ジョージ「少年よ、お前一人で勝てると思ってるのか?」

ジョージ大佐が近づいてくる。

レイ「先程戦っている所を見たばかりですが、とても勝てると思ってません。でも、これ以上戦局が悪くならない為には少しでもキーン少佐の足止めが必要かと思います。」

ジョージ「足止めなぁ、お前がキーンをどれくらい止められると思う?5分もつかな…その時間に守られる損失よりお前という人材を失う事の方がWAZにとって損失だわ。足止め程度の覚悟で出てくなら待機してた方がマシだ!」

レイ「ならどうすればいいんですか!」

レイは大声で怒鳴る。

司令部の全員が静まり返り、振り向く。

ジョージ「俺も行く」

レイ「大佐自らって!ここはどうするんですか!」

ジョージ「優秀な奴らが残ってる、問題ない。お前の言うとおり、キーンが暴れたら戦局も危うい。奴は元々直属の部下でな。癖も何も俺が一番よくわかってる。俺がキーンを止めている間に敵の操っているウエポンズを見つけてほしい。WAZの者を全員生きて戻すぞ!」

レイ「はい。」

レイは冷静になり頷いた。

ジョージとレイはキーンの元へ向かう。

ジョージ大佐とレイはキーンのそばまでヘリコプターで近づき降下した。

目の前ではWAZの軍服を着た者同士が戦闘している。

ジョージ「見たくない光景だな、片方が操られているとしても。」

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