第22話:軍人とは

EU基地に戻ったレイ。

報告か終えるまでタイガはアリス達とジャンヌ・ダルクへ。

レイ「只今戻りました。」

ロック「無事でなにより、ナオミからも連絡もらった。初任務ご苦労。どぉじゃった?」

レイ「色々ありましたが、役に立てなかった…」

ロック「初めてなんてそんなもんだ。ワシの初任務も酷いもんだった。」

レイ「ロック大佐も?」

ロック「初めからうまく出来る奴なんていないよ、アンディーもヴァンもみんな」

レイ「そういうもんですかね?」

ロック「現場に送るワシの立場からすれば、任務を優先と言わなければならないかもしれないが…本心は生きて帰ってくる事が一番だと思っておる。帰ってこれればどんな失敗をしてもまた挽回すればよい。死んだらそれまでだ…お前は無事生還した、それがなによりだ。」

レイ「次の任務頑張ります!それと…1つ質問があるんですけど。今回の任務で仲間が出来たんです。連れてきてもいいですか?大佐に会ってもらいたくて。」

ロック「基地は機密が多いから司令室などは入れられないが。応接室に連れておいで。」

レイ「ありがとうございます。今ジャンヌ・ダルクで待っててもらってるので、呼んできます。」

電話をかけ、アリスの部下がタイガを基地まで送ってもらえる事になった。

一時間後、タイガと合流したレイは基地の入口近くの応接室でロックを待つ。

ロック「待たせたの。ロック大佐じゃ」

レイ「大佐、タイガです。」

タイガ「初めまして。」

ロック「おぉ、侍か。久しぶりに見た。レイ、話があるんだろ?まさかただここへ連れてきた訳ではあるまい。」

タイガ「レイの力になりたく、エリアJPNから来ました。WAZに入れて頂けないでしょうか?」

ロック「入隊希望とは嬉しい話だが、1ついいか?」

ロックの目つきが変わる。

「今WAZも人手不足が深刻でな…いつ戦争が起こるかわからないんだ、事情でもなけりゃ率先して入隊などしたがらない。危険はもちろん、身体能力からして違うウエポンズと並んで現場に出ても、役に立つはずがないと決めつける者も多い。金稼ぐなら民間企業という選択肢もあるしな。でもな、そんな中でも入隊したいと言ってくれる者が誰でも彼でも入隊出来るってわけでもない。スパイではないか。危険分子ではないか…」

タイガ「俺はそんなんじゃありません!」

ロック「まぁ聞け。今言ったのは皆に当てはまる事だ。ワシが言いたいのはそこじゃない、仲良しこよしでこの仕事は務まらん。別々の任務につく事もある。ピンチのレイを助けるより他の人命を優先しなければならない時もある。不本意な任務もあるだろう。軍は組織なんだ。志望動機はレイの力になりたいというが、実際の任務はWAZの為にという事になる。その辺の覚悟はあるかと聞きたい。」

タイガ「…軍に入るということはそういう事とはわかっています。でも正直、胸を張ってはいとは言えません。もし他の軍にレイが所属していたならその軍に入隊を希望しただろうし。WAZの領土の出身でもないので、思い入れもありません。ただただレイの力になりたい。WAZに入るのが一番そばにいられると…」

ロック「正直な奴じゃ。それにしても、この短時間に何をそこまでの思いにさせた?…………はっ!!ジェンナー夫婦の事か!」

タイガ「申し訳ないですが理由は言えません。」

ロック「うむ。アンディーといい…何故そこまでレイに固執するかは聞かぬ。余程の事なんだろう。わかった。さっきの話は軍人になるなら頭に入れておいてくれ。通常通りの審査と手続きを行う。2日程かかるから、それまではレイの部屋で寝泊まりするといい。審査が通るまでは寮とジムと娯楽フロアのみ使用を許可する。入隊前には特例だが。」

タイガ「ありがとうございます。」

ロック「色々言ったが、仲間の為にという気持ちは一番大切な事と思う。領土や民を守るのが軍の根本だが、仲間すら大事に出来ない奴に何を守れるかとワシは思う。だから人の為に何かをしようとする所は気に入った。お前がレイに対する想いの少しでも軍や民に対するものになる事を願うよ。仲間は家族だ。」

ロックは部屋を出た。

レイは下を向き、

「タイガ、ごめん。連れてきて。」

タイガ「気にするな、大佐の言うことはもっともだ。むしろ仲間を大切にするいい人だと感じたよ。」

レイ「そうじゃない…俺自身その覚悟があって入隊した訳じゃなかったから…自分の身を犠牲にしてまで民や任務を優先とかまで考えてなかった…大佐の話、他人事に聞こえなかったよ。それなのにタイガに入隊を勧めた…」

タイガ「レイはウエポンズだしな。頭で考えたって出来ない奴もいるし、その逆もいるしな。教訓として頭に入れとけって事だと思う。」

レイ「うん…先輩達はすごいね、そうやって守ってきたんだから。」

感慨深い表情の2人。

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