第21話:タイガの師
イケダの屋敷に着いた。
寝室で布団に横になる老人。
タイガ「イケダさん、調子はどう?」
イケダ「あまり良くないよ」
タイガ「見せたい物があってきたんだ。」
銘備前国包平作をイケダに渡す。
イケダ「おぉ…これは…銘備前国包平作…生きてるうちに手に取ることが出来る時がくるなんて思ってもみなかった…どうしたんだ?」
タイガ「ゾゾから盗んできた。」
イケダ「危ない事を…私の為に…すまない…」
イケダは感動して涙を流し、4人は顔を見合わせ、笑顔に。
博物館で起きた事を話すタイガ。
イケダ「みんな、本当にありがとう。この刀だが…タイガ、お前が使ってくれ。」
タイガ「え?」
イケダ「イケダ家にとって大切な刀。金に物を云わせ本当の価値もわからぬ者に持たれる事はご先祖様に申し訳が立たないと思っていた。しかし跡継ぎのいない私にはこの刀を後世に遺していく事は出来ない。くたばりかけの老人が持つより、剣豪のお前に使われる方が刀も本望だと思う。この刀にふさわしい男になれ、タイガ。」
一同「…」
イケダ「感謝しかない、あの世でご先祖様に顔向けが出来る。」
タイガは刀を受け取る。
タイガ「大切に使わせていただきます。イケダさん、お大事になさってください。」
4人は屋敷を後にする。
イヴ「イケダさん喜んでたね、よかった…」
レイ「イケダさん知り合いじゃなかったの?」
イヴ「違うわよ、私に救いを求めるメールが世界中からくるの。今回はイケダさんの身の回りの世話をしてる人かしら。」
レイ「そっか。沢山の人の願いを叶えてきたんだね、すごいよイヴ。」
イヴ「やめてよ、照れちゃう。」
タイガ「レイ、最後に俺の師匠に会ってもらいたい。」
レイ「うん。」
寺院に到着。
タイガ「すまないが、ここはレイと二人で行かせてくれ。」
アリス「いいわ。ここ、歴史ある立派な建物ね。イヴと参拝してるからいってらっしゃい」
タイガとルイは本堂の中へ。
タイガ「御師さん、タイガです。レイ=ジェンナーを連れて参りました。」
誰もいない静まり帰った広間の柱の後からふっと出てくる山伏装束の男。
「会えるのをずっと待ち望んでいた。」
レイは首をかしげる。
男「ハンゾウ=ハットリだ。」
レイ「ハンゾウ?鍵の守護者の?!」
ハンゾウ「いかにも。」
レイ「タイガも鍵の事知ってるの?」
頷くタイガ。
ハンゾウ「タイガは私に何かあったときの後継者として育ててきた。私の全てをタイガには教えてある。鍵と約800年間代々受け継がれてきたこの名跡を継ぐ事を目的として。」
レイ「タイガが次の守護者…」
タイガ「大任を務めあげるには、まだまだだがな…」
ハンゾウ「ご両親には大きな恩があってな。頼まれた時には鍵の秘密以外何も言わなかった。我々守護者は、お互い誰なのかも知らない。危険が増えるだけだからな。お前の事も鍵を開けるのは息子としか聞くことはなく、自ら探すしかなかったが…遠く離れた広大な大陸…大っぴらな捜索などもちろんできず…」
タイガ「御師さんは僧侶として鍵を守り、俺はJPNで一番顔の広いゾゾの専属部隊として探していたんだ。まさかWAZの応援で来るとは思わなかったが。」
ハンゾウ「レイ…。タイガをお前に預けたい。」
レイ「え?」
ハンゾウ「私が当主であるうちに腕を磨き、見聞を広める為。鍵の次期守護者として開錠者のお前を守り、鍵を渡すべき人格か見極める為。」
タイガ「宜しく頼む。」
レイ「ほんと??凄く心強い、こちらこそ宜しく」
ハンゾウ「二人とも武運を祈る。世界を見て来い。」
レイとタイガは頷き、本堂を後にする。
レイ「お待たせー」
アリス達を見つけ叫ぶ。
アリス「用事は終わったのね、JPN基地へ行こうか」
レイ「うん、宜しく。」
再び飛行機に乗り、JPN基地へ。
到着後、レイは基地司令室へ、残る三人は街の寿司屋へ。
司令室へ着いたレイはナオミへ報告。
レイ「遅くなりました、レイ=ジェンナー只今戻りました。」
ナオミ「ゾゾの長話に捕まってたらしいわね、お疲れ様。」
スズキ兄弟が気を利かせて嘘の報告をしてくれていた。
ナオミ「捕獲任務は失敗だったが、上からしてみたら宝が守れ、ゾゾが満足した事がウエポンズを捕まえる事より重要だったから。何も言ってこないわ。情けない話だけど…」
レイ「…はい。」
宝の事もイヴの事も伏せておく事にした。
ナオミ「助かったわ、ロック大佐にも宜しく。」
レイ「皆さん、お世話になりました。」
レイは敬礼して司令室を出た。
アリスに連絡し、飛行機で合流した。
アリス「あー、美味しかった。レイ、お土産よ。よし、帰ろう!」
レイは寿司の土産をもらい
「ありがとう」
飛行機はEUへ。
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