第20話:義賊
城を出て、歩くレイ達。
アリス「EUへの帰りは、わざわざ軍に迎え頼まずうちの飛行機に乗ってけばいいわ。JPN基地に報告に行っている間は近くでお寿司堪能して待てるし。」
レイ「え?いいの?ありがとう。」
タイガ「おーい、レイ。待ってくれー」
レイは立ち止まり振り返る。
タイガ「レイ、お前のご両親ってエド=ジェンナーとナツ=ジェンナーか?」
レイ「え?そうだけど。親の事知ってるの?」
驚くレイ。
タイガ「話がある。話にくい内容でな。少し遠いが俺の家に来てくれないか?」
真剣な顔で言うタイガ。
レイ「うん。スズキさん、先に基地に戻っててください。タイガ、アリスもいい?」
タイガ「構わない。」
アリス「いいわ、うちの飛行機でJPN基地に行く前に寄ってあげる。」
タイガ「ありがとう」
3人は飛行機に乗る。
タイガ「Mt.Fujiの麓が目的地だ。」
飛行機を降りるとタイガは長屋の1室に2人を案内。
タイガ「狭いが、好きに座ってくれ。」
畳に座る。
タイガ「アリス、改めて…仕事の邪魔してすまなかった。イヴのしようとした事に支持してしまって…」
アリス「何度もいいわ、気にしないで。」
タイガは深々と下げた頭をあげると、ニヤッとして、
「見てくれ」
腰に下げていた2本の刀の1本を鞘から抜いた。
アリス「えっー!!銘備前国包平作!!」
アリスは驚愕した。
レイ「本当?!」
タイガ「予告状が届いた時に便乗する事を思いついて、イヴが失敗したら俺が盗むつもりで計画してたんだ。盗む理由も同じだったから、イヴが成功してくれてもよかったんだけど。WAZとアリスが来るって聞いてたから、もしも失敗したらって時のプランBをね。警備が厳重過ぎてウエポンズでもない俺が単独で気付かれずに盗むのは難しい。事前にレプリカを鞘に入れて現場に行き、イヴが逃げてレイから刀を預かった時にすり替えた。」
レイ「でも、レプリカってバレないの?」
タイガ「あんな見る目ない奴に気付かれるわけないよ。展示品の素晴らしさがわかって集めてるんじゃなく、こんな貴重な物沢山持ってる俺凄いだろってだけだから。有名な鑑定士に薦められればそこら辺の痰壷だって買うさ。」
アリス「呆れる…でもそういう人ね…」
レイ「でも博物館に見に来る人にバレない?」
タイガ「博物館に入ってすぐ、自分を主人公にした映画を見た後に鑑賞できるルートになっていて…あんな見せびらかす目的だけの自己満足施設、誰も行きたがらない。客が入るの見た事ないよ。まぁ、気付かれるとしたら、破産して競売出す為鑑定する時じゃないか?」
レイ「何か…不謹慎だけど、ざまあみろだね」
3人は大笑いし、
アリス「皆、各々の目的も遂行出来たし、一番良い結果だったかもね。イヴもイケダも含め。宝をすり替えられたゾゾですら気付かず満足してる。」
レイ「俺は捕獲任務遂行できてないけど…大きなくくりでゾゾの要望に応える目的って事では、まぁ満足か」
「満足なんてしてないわ。」
窓の外から顔を出し、話に入る着物を着た町娘。タイガは刀の鯉口を切る。
レイ「誰?タイガの友達?」
タイガ「いや、知らん。」
「これならどう?」
と仮面を付けるとイヴだと気付いた。
一同「あ゛!」
イヴ「このイヴ=ワースが初めて失敗したのよ、満足なんてするわけないじゃない。イケダさんに刀が渡ればいいってもんじゃないわ。」
タイガ「この街の娘だったのか?」
イヴ「計画を練る為に5日程城下町の娘として潜伏したけどね。」
アリス「顔バレなんてしちゃっていいの?」
イヴ「構わないわ、だって廃業することにしたから。この特殊能力があるから捕まらない自信があったの。でも、特殊能力の弱点がバレてしまった今、対策もとられてしまう。潮時よ…捕まったら一生刑務所だし。お嫁にいけなくなっちゃう。」
レイ「更生するの?」
イヴ「失礼ね、悪い事をしてきたつもりはないわ、泥棒だけど。」
レイ「これからどうするの?」
イヴ「アリス、ジャンヌ・ダルクに入れてもらえないかしら?仕事を手伝いたいと思ってる。私の能力の弱点を見破った人に付いていくと決めてたの。組織は苦手だからフリーランス希望だけど。」
アリス「歓迎するわ、以前あなたのせいで失った信用の損失返してもらうわなくちゃ。」
笑顔で頷くイヴ。
タイガ「よし、イケダさんに刀を届けに行こう!」
イケダの屋敷へ向う4人。
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