第17話︰初任務

ジャンヌ・ダルクを訪れてから2週間、ルイの情報も入らず、訓練だらけで任務も与えられず、不安と鬱憤が溜まり始めた頃、ロックの部屋に呼ばれたレイ。

ロック「レイ、任務についてだが。」

レイ「待ってました!」

ロック「ASIA基地の大佐からのウエポンズの応援要請でエリアJPNへ行ってもらいたい。ある重要文化財の警備だ。」

レイ「はい?警備??」

ロック「なんだ、不服なのか?」

レイ「それも軍の仕事なんですか?俺は戦場に行くものだとてっきり…」

ロック「普段警備を軍の仕事として行う事はほとんどないがなぁ。基本的には警察や民間の警備会社が行う。しかし今回は、゛ウエポンズ゛が宝を狙っているというから軍も動くんじゃ。」

レイ「ウエポンズと戦闘になる可能性があるってことです?」

ロック「そのウエポンズは好戦的ではないからそれはないと思うが…。ASIA基地からウエポンズの応援要請されたが皆出払っていて、この基地のウエポンズで今動ける者はお前だけで…初任務を…お前1人うちから単独で送るのはと思ってるのだが…ASIA基地の人間と班を組む事になる。」

ロックが柄にもなくもごもご話す。

レイ「やります、やらせて頂きます。大陸から出た事もないから楽しみです。」

ロック「そうか、すまないが頼む。くれぐれも無理はしないように。無事に帰ってきてくれ。一時間後に出発じゃ。飛行機で送らせる。仕度しといてくれ。」

レイ「はい。」

レイは単身ASIA基地へ。


-  数時間後 -

ASIA基地に到着。

まっすぐ司令室へ向かう。

レイ「EU基地から参りました、レイ=ツェンナーです。よろしくお願いしゃす。」

緊張して噛み噛みなレイ。

「よく来てくれた、大佐のナオミよ。任務は聞いてるわね、それでは仲間を紹介するわ。あなたと班を組む5人。イチロー、ジロー、サブロー、シロー、ゴローの5人。スズキ家の5人兄弟。」

どこか貫禄のある女性。ロック大佐が新人のレイを送らざるを得ない話だったのがわかった気がする。

レイはロックからあまり任務の説明を受けていなかったが、淡々と進む話を遮る事は出来なかった。

ナオミ「今回の任務は軍に多額の寄付をしてくれている大富豪所有の博物館の警備なんだけど、正直気に入らないの。軍を我が物顔で使われてる様で。上から頼まれたけど気分悪いわ。任務はウエポンズの捕獲って名目だから、宝はどうでもいい。ちゃちゃっと捕まえてきてもらえる?」

レイ「…はい…警備ではないんですね?」

ナオミ「軍が民間人のコレクションを警備するなんて聞いた事ないわ!そんなの他の軍の耳に入ったら赤っ恥よ!要人や危険物ならともかく!だから先方は警備依頼だけど、軍としてはウエポンズの捕獲という任務になったの!そういう任務なんだから任務以外はやらなくて良い!」

ナオミの圧にやられるレイ。

ナオミ「というわけで、出発して。飛行機用意してあるから。」

そそくさと司令室を出るレイ。飛行機に乗り込む。

レイ「いつもあんな感じですか、大佐…」

イチロー「まぁ…人望も実績もある人なんだけどね…あぁなった時だけは早く現場に逃げたくなる…」

レイ「ASIA基地の皆さんのご苦労察し致します…」

ジロー「時差ボケあるでしょ?気を使わず、移動は寝ていってもらって構わないから。」

レイ「ありがとうございます。でも、実は任務の説明をあまりされてないので教えて貰えませんか?」

ジロー「うん。ゾゾという大富豪のコレクションの並ぶ博物館に予告状が届いた。送り主は怪盗イヴ=ワース。世界一の大泥棒。狙われているのは、エリアJPNが国だった頃の国宝、日本刀の中で最高傑作と呼ばれる銘備前国包平作。それを警備してくれというゾゾからの依頼。しかし軍としてはウエポンズであるイヴの捕獲任務。」

イチロー「イヴは義賊と呼ばれていて…

過去の事件でも盗みはするが、ケガ人や死人は出ていない。今回の宝は元々国が管理していたのだが、戦争で行方不明に。数年後闇オークションにかけられ、ゾゾの先祖が手に入れた。国がなくなり、所有権も曖昧になった今は公に博物館に展示されている。イヴはそれを元の所有者、イケダ家の末裔に贈る為に盗みに来ると思われる。」

レイ「なんだか、悪い奴に聞こえなくなってきた…」

ゴロー「任務だからな、感情は捨てて」

スズキ兄弟の愚痴を聞いたり、話は途切れる事なく、ゾゾの屋敷に到着。

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